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〔困ったなあ、その16〕 『製造物責任(PL)訴訟の流れ』
 2005-10-12


 以前【困ったなあ(その5)】でご案内の通り、中国では民法通則(日本の民法に該当)、産品質量法(通称:製品品質法)および消費者権益保護法により、いわゆる製造物責任(PL)が問われることになっています。
 事故発生後の対処を誤ると、大変な損失を被ることになりかねない「PL訴訟」。 今回の「困ったなあ」では、具体的なPL訴訟の流れや手続きについて具体的にご説明いたします。


中国における製造物責任(PL)訴訟について
 解説のURL(PDFファイル


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〔困ったなあ、その15〕 『公印の管理規程は明文化されていますか?』
 2005-8-3


 中国で企業を設立し、工商行政管理総局から登記証の交付を受けると駐在員事務所、合弁会社、独資会社のいずれであっても直ちに準備しなければならない仕事のひとつに『公印の制作』があります。公印には@「公司専用章」、A「合同専用章」、B「財務専用章」、C報関(通関)専用章」などがあります。日本国内で用いられる公印に比べ随分と簡単、シンプルな造作で気抜けしてしまう程の代物です。まるで社員が日常用いるシャチハタ印のような手軽さを感じてしまいます。でも、中国では、この簡便な印鑑の押印が企業の意志を示す『表見代理の役割』を果します。

 最近、この公印の取扱いを巡る空恐ろしい話を何件か聞かされました。いずれも中方パートナー、特に総経理と共に会社の発展に協力すべき立場にある副総経理やその一派に占有、管理され、会社の日常運営、会社資金の出し入れが総経理の知らないところで勝手に行われているというお話でした。

 しかし、いずれのケースも総経理は1〜2回/年しか訪中しておらず、名目的な総経理代行を置いてリモートコントロールする体裁を取っていました。しかし、実態はいつの間にか実務最高責任者が副総経理の手に移り、決裁権を握った副総経理の下に実務責任者が群れ集う権力構造の変質が進行し、いつしか公印の押印管理も副総経理の掌中に収まってしまったようです。日方の出資者はパートナーを信じる気持ちが強く、中方の副総経理にしても経営効率を考えれば、逐一、日本在住の総経理に報告、決裁を求めるような煩雑なことを繰り返して行うようなことも出来なかったであろうことは推測するに難くありません。

 もう一つの事例では、一時期、日方の総経理が不在期間が生じている間にすっかり中方にイニシアティブを奪われてしまい、後任の総経理が赴任した頃には、誰も日方総経理の指示には従わなくなっていて、新任総経理が強硬に自らの職権を主張した際には社員から暴行を受けてしまい、憤然として総経理職を辞し、帰国してしまったそうです。日方出資者もこうした事件の顛末を聴取して同社の経営続行を断念してしまい、タダ同然の価格で中方に売却してしまったそうです。理由が、法律に従って清算作業などしようものなら、その期間中に累損が更に増え、清算作業に携わる日方従業員の身の安全確保もおぼつかないに違いないとの判断があった為です。

【アドバイザーの一言】
いずれのケースも余り耳にしたくない不毛で悲しいケースと申せます。どう考えても、やはり余りに経営を軽く見すぎていると言わざるを得ません。他人を信用することの難しさをつくづくと感じます。
しかし、合弁で共同経営している訳ですから会社の資金が恣意的に或いは不正に流用されることは何としても防ぐ必要があります。その為には、公印の使用決裁基準や会社費用の決裁基準を明文化しておくことが最低限求められます。

公印押印時の申請ルール、決裁ルートや最終許諾者の明示、公印保管者と保管基準の決定、押印記録の記入ルールと保存責任者、決裁可能限度額と最終決裁者基準ルール等々、微塵も誤解や曲解が生じないルールを文書化し、違反者には罰則基準ルールも全社ルールとして決定しておかねばなりません。

それでも尚、申し上げたいことは、こうしたルール化、文書化が出来ていない段階で総経理職が長期間空席になってしまうような経営スタイルは絶対にしないこと、社内的に総経理の派遣が難しい状況がある場合には、中国に限らず海外事業を展開するようなリスクは必ず避けてください。『一生の不覚』になる可能性が極めて高いからです。

〔提供:JETRO海外投資アドバイザー 北村 庄司〕
(本掲載事例の無断コピーや無断転載は一切禁止します。著作権は執筆者個人に帰属します。)







〔困ったなあ、その13〕 『工場建設〜緑化に思わぬ出費』
 2005-6-29



はじめに

中国進出に当たっては、工場用地を選定する際、土地単価や建築コストを考慮すると同時に、造園工事の面でも注意しなければならないことがある。
    この十数年、中国では都市近代化が急速に進み、環境問題が大きく取り上げられ、緑化に対する関心も高まりつつある。特に北京は中国の首都であり、2008年?グリーンオリンピック″のスローガンの下で、造園緑化事業が都市発展のメインテーマの一つになっている。
住宅地、公共建築はもちろん、工場にも例外なく、厳しい緑化基準を設けられている。工場建設の総投資額を算定する際、緑化に関し考慮すべき点がいくつかある。

その一 緑化比率は敷地全体の30%以上

通常、工場の緑化率が敷地面積の30%以上を占めなければならないと規定されている。工場建設にあたる用地選定の場合、土地単価、建築費用を考慮すると同時に、それなりに緑化工事費を予算に入れておく必要があり、建設できない土地が30%以上あることを注意しなければならないのである。芝生を張って終わりと考えている会社もあるようだが、大概何平米に何本という具合に高木を植えなくてはならないことが多い。また日本では1年間無料の枯れ保障は当たり前であるが、中国では有料であり、結構な出費となる。実際にここまで考える会社は決して多くはない。筆者はこれまでの工事に対し、最初殆ど予算を組んでおらず、後で追加予算を取るはめになった。

その二 土壌改良が必要な土地が多い

土壌は植物の生存できる最も基本的な条件であり、水、温度、日照と合わせ植物が生長する要素を構成する。中国は国土が広いが、使える土地は決して多くはない。特に開発区は沿岸部の埋立地が多く、内陸部では良い農業用地を工業用地とするケースが少なく、大半の開発区は土壌改良が必要である。内陸部の土壌の特徴は乾燥しており、砂地やアルカリ性の土壌が多い。沿岸部の土壌は海に近いためアルカリ性土壌が多く、土壌改良しなければ、緑化できないのである。土壌の状況によって緑化工事のコストも大きくかわる。
    例えば天津泰達開発区では植栽する為には70cm以上の土を交換しなくてはならない。更に、15cmの砕石を敷き、多孔パイプを引くなど、大掛かりの工事となる。

その三 土壌及び気候の差で、メンテナンスのコストも変わってくる

維持管理には水を沢山使う。開発区では水を地方の政府から買うのが一般的であり、植栽に使う水の料金が半端ではない。砂地となれば、水抜けが早く、夏は水道料金がグンと上がる。北京周辺では夏に高温の天気が続き、尚且つ降雨量が少なく、空気がとても乾燥している。人手で水を撒く場合は人件費もばかにならない。また、困ったことに、人手になると、均等に水を撒くことが難しく、自動潅水システムに比べて水の使用量やランニングコストが遥かに多くかかる。それに比べ、潅水システムは稼動時に水景観ともなるので、お勧めである。
最近は、ただ芝を張って樹木を植えたりするのではなく、緑化を一種のランドスケープとして魅力ある工場環境の形成に役立てる企業が増えている。来訪者に環境重視の素晴らしい企業イメージを与えると同時に、ここで働く従業員およびその地域に良い環境を提供できる。また従業員募集にも一役買ってくれるのである。

現在稼動中の工場管理やこれから建てようとする工場の緑化に関して、何か分からないことがあれば、ぜひお気軽にご相談下さい。

北京建王園林工程有限公司
天津建王園林工程有限公司
北京建王技術コンサル有限公司

代表取締役 社長 王 達
(大阪府立大学農学研究科環境緑地
計画工学修士卒、建築士)

北京市朝陽区曙光西里甲1号東域ビル
(第三置業)A座502
TEL:86-10-5822−0208
FAX:86-10-5822−0228
e-mail:wang@kenohchina.com
  http://www.kenohchina.com









〔困ったなあ、その12〕基本取引契約書に『債権留保条項』を加えていますか?
 2005-6-13


 M総経理の会社は、傘下に数ヶ所の支店を認可され、販売活動を展開しています。これまで本社内で永年頑張ってくれていたローカル販売スタッフの管理職への登竜門として思い切って地方支店の支店長として抜擢人事を行い、社内の若手セールスマンからも努力すれば会社は門戸を開いてくれるのだと、大変な好評で意気も大いに上がっていました。社内に活気が出てとても明るく、売り上げも大きく伸びていきました。抜擢された新任支店長たちが単身赴任をものともせず勇躍して地方での販売促進、新規取引店の開拓に努力してくれたからです。ところが、数ヵ月後、M総経理の顔が曇り始め、1年後には眉間の皺が深まり始めたのです。

 売り上げは伸びるものの、債権回収が滞り始め月を追って長期滞留債権比率が無視できない程に高くなってきたのです。自らこうした取引先を訪問して老板に直接支払いの督促も何度かお願いもしましたが、この広大な中国に広がった数多くの取引先をすべて巡回訪問するなど、時間的にも効率的にもとても不可能です。自然と自分自身の体験に基づいて新任支店長達に朝な夕なに電話連絡して、ノウハウを伝授する毎日となりました。

T総会計師の知恵も借りて、自社防衛の為に得意先毎の与信限度額を設定する作業に取り掛かり、その額を一元でも超過する受注には一切応じない措置を講じることになりました。セールスマンが受注して来ても、経理責任者が商品出荷指示を出さない、倉庫管理責任者も経理責任者の押印の無い伝票をセールスマンが持参して来ても絶対に倉庫から商品を持ち出させないという原始的な対応を始めました。営業より経理部門が管理するシステムに転換させざるを得なかったのです。売上高は月を追うごとに急降下していきましたが、セールスマン達も取引先には面子が立たず、自分の月収も大きく減少していく為、債権回収に真剣に取り組まざるを得なくなっていきました。もちろん辞めて行くセールスマンも増加し、その中には将来を有望視されていた人材も少なからず含まれていました。でも、会社全体が出血多量で致死量に近づくことを座視するわけにはいきません。

 次に、法務責任者であるO課長を呼び出して、「合法的な債権確保の道は無いか知恵を絞ってくれ!」と檄を飛ばしました。翌朝、O課長がいくつかの案を提案してきました。その中でM総経理が「これだけ債務返済に対するモラルが確立出来ていない市場で、どれだけの効果が上がるか不明だが、合法的に自社権利を主張できるのなら、ぜひやってみるべきだ。」と、指示し、基本取引契約書の中にも一条追加したのが『債権留保』条項でした。

これは、「債務が完済されない間においては、所有権は売り手側にある」というものです。
厳しい市場環境にあるからこそ、合法的な拘束力を持つ手段は積極的に採用していこうと、M総経理は決心を固めたのです。激しい市場競争の中、今日も身を削る思いで販売拡大に知恵を絞るM総経理ですが、その後、長期滞留債権の新規発生は大幅減少していることを示すグラフを眺めつつ、心理的効果がでたのかなと意を強くしているようです。

【アドバイザーの一言】
債権回収問題は、長年来の外資系企業の課題です。もちろん日系企業も例外的存在ではありえません。新規進出企業にとっては、引き続き難題と言えましょう。大変な外資企業の参入で、買い手側は『買い手市場だ』とばかり、何かと新たな要求を提示して有利な取引条件を獲得しようとしています。しかし、秩序の確立した市場で競争してきた売り手が増加することは決して不利なことばかりではありません。どの企業でも『黒字倒産』の憂き目になぞ遭遇したくはありませんから、競争力を持つ企業からどんどん厳しい取引条件を提示して、『前受け金』や『現金取引条件』を買い手側に要求し始めています。これは反面、買い手側から見ると、こんな姿勢の企業が増加していけば、買い手論理が徐々に通じにくくなり、従来の姿勢を改めないと自社の販売パワーや信用力が弱体化していくことに他なりません。

『債権留保』条項は、決して即効性のあるものでないかもしれませんが、合法的な条項であり、どんな取引先からも後ろ指を差されることもありませんので、『百年河清を待つ』が如く、ただオーダリー・マーケティングの実現を待つより基本取引契約にこの一項を加えておかれては如何でしょうか?

〔提供:JETRO海外投資アドバイザー 北村 庄司〕

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〔困ったなあ、その11〕中国特許制度の注意点 2005-6-3


1.中国における知財権出願事情
 2002年には、特許(発明)実用新案(実用新型) 意匠(外現設計)の合計数は、252,631件となり、2003年には30万件を越えています。また特許(発明)の出願件数は、中国国内からの出願39,806件、外国からの出願40,426件とほぼ同じであり、中国企業の技術レベルの向上が窺えます。また、2002年のアメリカ合衆国からの出願は67,740件であるのに対し、日本からの出願は35,916件でありアメリカの半分にとどまっています。

2.中国特許法の特徴と注意点
 日本法と同様ドイツ法にルーツがありますので共通点は多いです。発明者又は創造者の非職務発明創造の特許出願の自由(7条)や、「先願主義」の原則(9条)など、出願における公平平等性は日本法と同様です。
しかし、次のような相違点があり注意が必要です。

(1)まず、特許法の解釈は、裁判例よりも最高人民法院の法解釈が優先しますから、この解釈基準を知ることが重要です。
例えば、特許法第22条は「特許権が付与する発明及び実用新案は、新規性、創造性と実用性を具備しなければならない。」と定めています。この「新規性」についての解釈基準は、“中国国内で公衆に知られていない”ということだとされていますので、日本で公表されていても中国内で知られていないものは、中国では他人によって出願され登録されてしまう危険があるということです。また、中国で展示したり研究発表したりすると、一定期間経過後に「新規性」を失います(24条)。従って、事前に出願しておくことが大切です。

(2) デザイン(意匠)の分野は、新規性だけでなく類似性に関しても注意が必要です。特許法第23条は「同一又は類似であってはならない」としていますが、その類似判断の解釈範囲が狭いため、他人に先に登録されてしまう危険性が大きいのです。

(3) 「先使用権」もやっかいです。中国側が“前からこの方法で同じ物を作ってきた”という場合には特許権侵害となりません(63条)。出願する方から見ると、市場に出回っていないからといって安心できないことになります。

(4) 先頃発光ダイオードの特許権をめぐる裁判で話題となった「職務発明」について、中国特許法と実施細則は会社に対し2,000元以上の報奨金(74条)、納税後利益の2パーセント以上の報酬金(75条)の支払を義務づけています。予め就業規則や雇用契約などできちんと取り決めをしておく必要があるでしょう。

3.まとめ
以上、特許に関して注意すべき幾つかの点を取り上げました。中国に進出される場合は、日本での特許出願に併せて中国でも出願されることをお勧めいたします。   〔以上〕

弁護士 谷口優 (日本菅野庄一法律事務所北京代表処)
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Last Modified 2005/10/12