判例に見る、QA式「中国社会と法律の実際」・第2回
〜裁判所で実演させ、著作権侵害の有無を判断〜
今回は、2008年8月14日中国法院報から、著作権侵害に関する判例を紹介いたします。
事案の概要; Aチャイナドレス店の経営者王は、紅い鳳凰の模様のチャイナドレスのデザインを、古代の服装の色彩の組み合わせを参考にデザインした。A店はこの独特なチャイナドレスを約2,000元で販売した。ほどなくして、王は、近所のBチャイナドレス店が同じデザインのチャイナドレスを約1,500元で販売しているのに気が付いた。そこで、王は、B店の経営者魏との交渉に赴いた。王の予想に反し、魏は、このドレスは自分がデザインしたものであると断言し、王が自分のアイデアを盗んだと主張した。2007年5月、王は、上海第一中級人民法院に訴えを起こした。魏は直ちに反訴の提起をした。
双方は裁判所に証拠を提出した。王は、紅い鳳凰のデザイン図の完成が2006年10月9日と記載された市著作権局が発行した登記書、デザイン画などの証拠を提出した。魏は、紅い鳳凰の図案が記録されたCD-ROMの複製(そのCD-ROMは2006年6月23日で複製されたことを示していた。)、参考図面等の資料を証拠として提出した。
裁判官が双方に本件作品の創作過程を質問したとき、王と魏は流暢に回答し、いかなるほころびもなかった。真偽を判断するため、裁判官は二人に法廷で創作過程を実演させることとした。実演当日、王と魏は各々パソコン、参考図案等の資料を持参した。王は、画像処理ソフトを使用し、参考図案中の3つの鳳凰を用い、裾の模様、瑞雲などの要素を各々取り出し、変形、接合、重ね合わせ、色の変更などをし、2時間ほどでデザインを完成させた。他方、魏は始終デザインを完成させる術がなかった。
判決の概要; 魏に対して、著作権侵害の差し止めと5万元の支払を命じた。
判決理由の概要; A店は著作権の登記証明などの証拠を提供しただけでなく、創作過程を実演できたことから、A店が紅い鳳凰のデザインのチャイナドレスの著作権者であると認められる。B店は、本件デザインの著作権者であるとの証明が足らず、また、A店が著作権者であることを否定する証明が足りない。
Q;基本的な質問ですが、著作権というのはどういうものですか?
A;著作権とは著作物を創作した人が有する権利です。著作物というのは、精神的な創作活動により、表現されたものです。
Q;著作権はいつ発生するのでしょうか?
A;中国では日本同様、創作した時点で著作権が発生するとされています。特許、商標、意匠等が登録しなければ発生しないのとは異なります。
Q;先に創作したということを証明するにはどうしたら良いのでしょうか?
A;魏さんのCD-ROMの複製の日付は、王さんの登記の日付よりも先です。CD-ROMの日付も一つの証拠ではあるものの、容易に改ざんが可能なので、証拠としての力は強くありません。最も確実な証拠として、王さんが利用した著作権の登記制度があります。また、CD-ROMを封筒に入れ、厳重にのり付けし、公証人に確定日付を付与してもらう、書留郵便を自分宛に送るなどして証拠化する方法も考えられます。
Q;たまたま同じものを創作した場合にも、魏さんは著作権を侵害したということになるのでしょうか?
A;その場合は著作権侵害になりません。王さんのデザインを真似した場合に著作権侵害になります。本件では、王さんと魏さんのデザインが同じであったこと、王さんと魏さんのお店は近所であり、魏さんが王さんのチャイナドレスを見ることが可能であったこと、魏さんは創作過程を実演できなかったことから、著作権侵害があったと判断されたのでしょう。
日本高井伸夫律師事務所駐北京代表処 (P.C):20021
北京市朝陽区建国門外甲24号 東海中心605室
TEL 010-6515-5830 FAX 010-6515-5831
E-mail:takaibj@public3.bta.net.cn
Homepage: http://takaibj.com/
|