建設

1.現状

(WTO加盟に伴う中国の市場開放、規制緩和、ならびにその経過措置の現状)

中国政府は2001年12月にWTO加盟後、2002年9月27日付けで建設部及び対外貿易経済合作部令第113号「外商企業建築業企業管理規定」を公布し、2002年12月1日より施行した。

その内容は、WTO加盟時の議定書に沿ったもので、WTO加盟後3年以内に外国企業独資の建設業(以下外資投資建設企業と称す)の設立を認めるもので、また、中外合弁経営或いは合作経営建設企業においては中国側のシェアが25%以下ではならないと規定している。外商企業(外資投資建設企業、中外合弁経営建設企業及び中外合作経営建設企業を総称する)設立に当たり資質取得の条件は、建設部令第87号「建設工事資質条例」に基き国内企業と同様で、工事請負範囲については、中外合弁経営或いは合作経営建設業においては、その資質内で請負うことの出来る工事をすべて請負うことが出来るが、外資投資建設企業の工事請負範囲は、WTO加盟時の議定書に沿ったもので、次の通りとなっている。

1.全てが外国の投資・外国の贈与、外国投資及び贈与での建設工事。

2.国際金融組織よりの援助で、貸し付け協定の条項に基き国際入札が行われる建設工事。

3.外国投資が50%以上の中外連合による建設工事。また、外国投資が50%より少ない建設工事で、技術的な原因で中国企業が単独で請負うことが出来ず、省、自治区、直轄市人民政府建設行政主管部門の許可を取得した後、中国業者と連合で請負うことが出来る。

4.中国投資の建設工事であるが、技術的な原因で中国企業が単独で請負うことが出来ず、省、自治区、直轄市人民政府建設行政主管部門の許可を取得した後、中国業者と連合で請負うことが出来る。

また、外商企業設立申請と同時に行う資質等級の申請に添付する工事施工実績については、令第113号を実施する前に、令第32条に基き「外国企業工事請負資質証」を取得して中国国内で請負った工事については実績として認めこれにより相応の資質を申請することが出来るとなっていて、外国投資者の外国での施工実績は認められない。 

令第113号の施行により、建設部第32号令「中国国境内で工事を請負う外国企業資質管理暫定弁法」は2003年10月1日から廃止される。

なお、国際金融組織よりの援助で、貸し付け協定の条項で国際入札が行われる建設工事については、外国の建設企業が直接受注できる件について詳細規定は未だ公布されていない。外商投資建設工事設計企業に対しては、2002年9月27日付けで建設部及び対外貿易経済合作部令第114号「外商投資建設工事設計企業管理規定」を公布し、2002年12月1日より施行した。

その内容は、外商投資建設工事設計企業(独資、中外合弁・合作を含む)の設立に当たり、外国独資の建設工事設計企業(以下「外資投資建設工事設計企業」と称す)の設立を認め、中外合弁経営或いは合作経営建設工事設計企業の中国側出資総額は登録資本の25%以下であってはならないとなっている。外商投資建設工事設計企業が建設工事設計企業の資質を申請する時、外資建設工事設計企業の場合、中国で登録した建築士、登録技術者の資格をもつ外国人サービス提供者は、それぞれ資質級別基準で規定する登録業務人員の4分の1を下回ってはならなく、中外合弁或いは合作経営建設工事設計企業の場合は、中国で登録した建築士、登録技術者の資格をもつ外国人サービス提供者は、それぞれ資質級別基準で規定する登録業務人員の8分の1を下回ってはならない、としている。建設工事設計業務範囲は取得した資質内で全ての設計業務を行える。  

また、WTO加盟後の建設工事の国際化に伴い、中国ではこれまで一つの建設工事を行うに当たり、設計、施工、監理という業種に分けて発注することが建設業法により規定されていたが、2003年3月、建設部(建市2003・30号)「プロジェクト元請けと建設プロジェクト管理企業の発展育成に関する指導意見」を発布し、建設企業及び設計企業に建設工事の設計請負等各種の請負形態を促しているのも、国内建設業の育成と同時にWTO加盟後の大型プロジェクトに外国企業が参入して来ることに対する対策ともいえる。

なお、中国建設部は2003年9月28日に建(2003)193号「中国国内において工事を請け負う外国企業資質管理の関係業務の遂行に関する通知」を発し、2003年上半期に突発した「SARS」により外商投資建設企業の設立及び資質申請業務が影響を受けたため、令第114号の実施を2004年4月1日まで延期することにした。

 

2.WTO加盟を踏まえ、中国側が施行した関連措置(①にて言及した)における具体的な問題点、改善すべき点。関連措置が施行されていない場合には、未施行による問題点。

令第113号「外商企業建築業企業管理規定」の施行により、多くの外国企業にとってWT O加盟前よりも中国において工事を請負うことが難しくなった。これまでは、外国建設企業は資質等級が無く「外国企業工事請負資質証」を取得すれば、工事の規模に関係なく外国投資100%の建設工事を請負うことが出来たが、令第113号の施行により、外資投資建設企業が大型工事を請負うためには一級或いは特級資質を取得しなければならず、外資建設企業は中国国内での建設工事実績が少ないため現在のところ一級或いは特級資質を取得することは出来ない。

これまで日系企業が外資投資建設企業を設立にあたっての種々の問題点が挙がっているが、これらの問題点はWTO加盟時の議定書に違反しているかといえばそうと言えるものは少なく、議定書で述べられていない部分での運用問題であり、中国の国内法との絡みもあり問題は複雑である。これらの問題を下記に列挙し、その改善案を述べる。

1.資質等級申請に当たり、施工実績について「外国企業工事請負資質証」に基いてこれまでに施行した中国国内での工事実績と外国において中国建設業者と連合(下請けを含む)して施行した工事実績のみを施行実績と認めるというのが建設部の意見である。

改善案;

これはWTO加盟前に外国での施行実績を加味するように要求していたので、再度外国の実績を認めるように要求すべきと思われる。

2.建設工事の元請企業は建築主体工事の施行を自ら完成させなければならないとなっているが、この項目が、建設業を設立するのに多くの人間を抱えなければならない主要因になっていると思われる。

改善案;

外国においては、一つの建設工事をそれぞれの専門業者に下請け発注するのが一般的で、これが建設工事の品質向上に大きく寄与しているので、建設の国際化に伴い「建設業法」の改正を望む。

3.企業設立時にそれぞれの資質等級に応じて企業が保有する技術者、管理者の数が指定されているが、これが外資投資建設企業設立に当たり大きな障害となっている。

改善案;

建設工事をそれぞれの専門業者に下請け発注することにより、保有人員は技術レベルが高度の技術者、及び施行管理者がいれば建設業として十分な機能を果たすことが出来るので、保有人員数は少なくすることが出来る。

4.一つの建設工事を数社の連合体で請負うとき、連合体を構成する建設企業の最低の資質等級に応じた建設工事しか請負が出来ないというのも不合理である。

改善点;

一つの建設工事を数社で請負う目的の一つとして、連合体を構成する各企業の長所を生かして請負を行うもので、その内一社の資質等級が低いということで請負えないとなると施行価格に競争力がなくなるので、連合体のリーダー企業が当該工事を請負える資質を保有すれば請負える様に改善を望む。

5.有資格者に関して、資格は中国国内において登録した資格となっているが、これについては、外国においても各種の建設技術者の資格があるので、それぞれに対応した資格を認定すべきと考えられる。

令114号「外商投資建設工事設計企業管理規定」の施行により出てきている問題点は、下記のとおりである。

外商投資建設工事設計企業が建設工事設計企業資質を申請する時、外資投資建設工事設計企業の場合は、中国で登録した建築士、登録技術者の資格をもつ外国サービス提供者の数は、それぞれ資質等級別基準で規定する人員総数の4分の1を下回ってはならない、となっていて、日本の設計会社が外資投資建設工事設計企業を設立しようにも、外国人の数が多くなり、コストが掛かり競争力が無くなる為、設立できないという情況がみられる。

改善点;

外国企業が外商投資建設工事設計企業を設立し易くする為に、外国人サービス提供者の数を指定すべきでない。各社の企業努力にゆだねるべきである。

 

3.WTO議定書で約束されていない事項で、貴業界(貴分野)として改善を望む分野についての提言

1項の最後の段で述べたが、建設工事の設計、施工、監理の一元化を望む。現行では、設計、施行、監理が別々の企業が行うため、品質の問題について責任が明確にならない。この結果、建設着工の手続きが複雑になり、更には品質の向上に遅れを来す。よって、今後更に品質を向上させる為には、設計、施工、監理を一社で行い、品質、工期、コストについて施主に対して一社で責任を持つという形式が望ましい。幸い、2003年3月に建設部(建市2003・30号)「工事請負と建設プロジェクト管理企業の発展育成に関する指導意見」が発布され、このような動きが徐々に見られるため、この指導意見の弾力的な運用を期待する。

 

4.中国と香港のCEPA締結の貴業界(貴分野)における影響。

2003年6月に中国と香港で結ばれたCEPA協定では、香港に法人登録している建設企業は引き続き境外企業であるが、外資建設企業設立の場合、原則以下の2点が優遇規定の対象となる。

   1.香港での工事実績は中国国内工事と同等に扱い、工事実績として認める。
   2.工事請負範囲の中で、“外国投資が50%以上の中外連合建設プロジェクト”の規制は無くなる。

となっていて、他の外国企業に比べて工事実績の点及び請負範囲の緩和よる営業範囲の拡大の面から、外資建設企業の設立がしやすくなる。

 

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