第16章 その他サービス


1. 会計事務所

中国では、WTO加盟を機に会計制度や税制の整備・改正が進みつつある。会計においては、国際会計基準を参考にした新しい会計制度が2002年1月1日より施行され、税務においては、新しい税務管理規定の改正や新しい規則の公布が行われている。

(1)会計制度の改正

2000年12月29日、「企業会計制度に関する通知の発行(財政部[2000]25号)」により、従来、外国投資企業に適用されていた『外国投資企業会計制度』が廃止され、新しく『企業会計制度』が2002年1月1日より施行されることとなった。これにより、中国の会計制度は、概ね次のように体系が変更された。

 

旧制度における中国の会計基準は、国際会計基準や日本の会計基準と多くの差異があったが、新制度における会計基準は、国際会計基準が参考にされているといわれている。新制度における会計基準に基づいて作成された財務諸表は、多くの修正を要することなく、そのまま、投資家の最低限の要求に応えうる財務情報を提供することが可能となっている。

新制度における主要な改正点は、次の通りである。

a) 貸倒引当金の設定:
  旧制度においては、貸倒引当金の計上について制限があったが、新制度においては、回収可能性のない債権については、企業が独自に判断し、貸倒引当金を計上することとされた。
b)  棚卸資産評価引当金:
  旧制度においては、処分することを前提とした棚卸資産について、処分価額が帳簿価額を下回る場合にのみ、その差額を引当金として計上していたが、新制度においては、それ以外の要因(陳腐化、原価割れ、販売や使用の不可など)による引当金の計上が要求される。
c) 有形固定資産の減価償却:
  旧制度においては、償却方法、残存価額及び償却年数が規則により定められていたが、新制度においては、すべて企業が適切に設定することとされた。
d) 長期投資:
  新制度においては、投資先に重要な影響力を持つ場合、持分法の適用が原則とされた。
e) 開業準備費:
  旧制度においては、開業準備費を開業後5年間で償却することとされていたが、新制度においては、開業後、一括償却とされた。
f) 資産の減損引当金:
  減損処理とは、投資した資産の収益性が低下することにより当初の投資額の回収が見込めなくなった場合に一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理である。貸倒引当金や棚卸資産評価引当金なども減損引当金の一種である。新制度においては、売上債権や棚卸資産以外の資産についても、減損引当金の計上が要求される。
g) 収益の認識:
  旧制度では、製品の出荷時、役務の提供時、または、代金の受領時に売上を認識計上することとされていたが、新制度においては、一般の物品販売の場合、次の4つの基準をすべて満たした時に収益を認識計上することとされた。
 
i) 企業が承認の所有にかかわる主要なリスク及び報酬を既に取引の相手方に移転したこと
ii) 企業が通常保留する所有権に関わる継続的な管理権がなく、販売した商品を実際に管理していないこと
iii) 取引の相手方から十分な経済的利益が企業に流入すること
iv) 関連する収入及び原価が測定可能であること
h) 連結財務諸表:
  新制度においては、投資先に対し実質的な支配力を有する場合、投資先の財務諸表を含めた連結財務諸表を作成しなければならないとされた。



(2)税収管理法の改正

2002年9月7日に「税収徴収管理法実施細則(国務院[2002]362号)」が公布され、2002年10月15日より施行された。1993年に公布された旧細則は廃止された。この細則の主な改正点は、次の通りである。

a) 情報の共有:
  国家税務局・地方税務局は、同一の納税人の税務登記番号に対して同じコードを使い、情報を共有しなければならない。税務登記の具体的な方法は国家税務総局が定める。
b) 書面による口座番号の報告:
  基本預金口座或いはその他の口座を開設した日あるいは変更のあった日から15日以内に所轄税務局に対し、書面にて全ての口座番号を報告する。
c) 工商局による税務局への定期報告:
  各レベルの工商行政管理局は、同じレベルの国家税務局および地方税務局に対し、定期的に、企業の開業登記・変更登記・抹消登記・営業許可書の停止状況等に関する情報を報告しなければならない。
d) 税務登記:
  納税人は以下の手続を行う際に、税務登記証を提示しなければならない。
 
i) 銀行口座を開設する
ii) 減税・免税・税金還付を申請する
iii) 納税申告または納税延期の申請をす
iv) 発票を購入する
v) 管轄区外経営活動税収管理証明書の発行を申請する
vi) 営業停止や事業を終了する
vii) 税務に関する他の事項
e) 地方の県(市)で経営業務活動を行う場合の税務登記手続:
 
i) 臨時に、生産、経営活動に従事する場合、税務登記証の副本を所有する必要がある
ii) 所在地の税務機関から発行された管轄区外経営活動税収管理証明書が必要となる。営業地の税務局へ通知および登記を行い、当該税務局の税務管理を受ける。生産、経営に従事する納税人が管轄区外経営を行い、それが、同一の場所で累計180日を超えた場合、営業地での税務登記および手続が必要となる
f) 関連企業の定義を明確化:
  関連企業として定義されるのは、・資金、経営、売買について直接又は間接に支配関係がある、・2社以上の企業が直接又は第3者に保有又は支配される、・利益の計上に関し共通するか或いはその他の関係がある、のいずれかに該当する場合である。
g) 関連企業の税額徴収について:
  納税人が関連企業との取引において、非関連企業との取引価格、費用負担の標準に従わない場合、以下の調整が行われる。
 
i) 税務局は、当該業務取引の発生した納税年度から3年まで遡って調整を行う
ii) 特別の事情があれば、上記の期間が10年に遡る
h) 過大納付:
 
i) 税務局が発見した場合、発見後10日以内に返還手続きを実施する
ii) 納税人が発見した場合、納税人の返還申請書を受領した日から30日間以内に調査の上、返還する
iii) 過大納付期間における銀行利息に関して過大納税した分の還付額を加算、法に準拠しない税金予納から生じた決算調整に伴う還付、各減免税額、輸出税額還付の場合は含まれない
iv) 税金還付利息は、返還手続当日の中国人民銀行当座預金利率により計算される。過大納付も過少納付も存在する場合、まず過大納付税額から過少納付税額を控除して、もしまだ過大納付である場合、過大納付の税額を納税人に還付する

 以上は、主たる改正点を紹介したにすぎない。これ以外の改正点については、会計事務所に問い合わせることを勧める。

 

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