| 2. 非鉄金属 (1)中国非鉄金属産業の概況 日本では金属産業を鉄鋼と非鉄金属とに分類しているが、中国では金属を黒色金属(鉄、マンガン、クロム)と、有色金属(黒色金属以外の金属)に分類しており、産業別では黒色金属を代表した鋼鉄産業と、非鉄金属産業にあたる有色金属産業とに分類される。 米国とほぼ同じで、日本の26倍の広い国土を有する中国には、豊富な非鉄金属資源が埋蔵されているが、種類により偏りがあり、豊富なタングステン、モリブデン、マグネシウム、希土類等に対し、市場規模の大きい銅、アルミニウム資源は必ずしも潤沢ではない。日本の約10倍の13億 の人々が消費する非鉄金属需要も、経済発展に伴い急ピッチで増加している為、中国の非鉄金属の需給が非鉄金属の国際市況に及ぼす影響力は年々増大している。2002年中国は大量の銅(精鉱、地金、製品、スクラップ)やアルミの原料であるアルミナを輸入する一方、アルミ、亜鉛、錫、タングステン、マグネシウム、アンチモンや希土類レアメタルなどの主要輸出産品を日本、韓国、台湾、タイ等の東南アジア地域の他、米国、フランス、英国等の欧米諸国に輸出し、全金属輸出量は世界第一位で世界でも有数の非鉄金属の供給国となっている。
(2)2002年の回顧 ほぼ3年間を費やした中央での非鉄関連組織の大規模なリストラが一昨年にほぼ一段落し、中国の非鉄産業は、総じて言えば、これと言った大きな出来事もなく、比較的落ち着いた年であったと言える。世界景気が低迷する中で、中国のみが8% 近い高い経済成長を続けており、これに伴う中国国内の非鉄需要も大きな伸びを示している。しかしながら、これを上回る生産設備の増強が行われ、下記の表-2でもわかる通り非鉄金属生産は全般的に大幅な生産の伸びを示した。しかしながら、一方では銅、アルミ、亜鉛、錫などの主要金属の原料が不足し、五金公司、有色公司が合体した新生五金公司が中心となって、中国が国内のみならず、本格的に海外での鉱山開発に眼を向け出した年でもある。
貴金属関連の話題として、政府の規制緩和の一環から2000年の銀取引自由化に次いで金の自由化も現実的なものとなり、2002年10月に一年の試験取引を経て上海黄金交易所での金の本格的国内取引が開始され、長い間続いた中央銀行である中国人民銀行の独占支配体制が終焉を迎えた年でもあった。 (3)2003 年の展望 業界全般の展望を総括すると、下記3点がKey Pointになると思われる。
主要金属である銅、アルミに関して、2002年を回顧し2003年への展望に繋げてみると、 * 銅 : (主用途: 電線、家電、IT部品) 主要都市間の電力・通信網の整備や、家電、IT関連の急成長から、国内の銅需要は急増、これに日本、韓国、台湾などからのトランスプラントによる新規需要が追い討ちを掛け、中国の銅需要は大幅増。銅に関しては、原料、地金、スクラップ全てが輸入依存となっているが、昨年来続いている世界的な銅精鉱の供給不足から、スメルタ−が原料を十分に調達できない状況に陥っており、地金、スクラップの更なる輸入増が見込まれる。 * アルミニウム: (主用途: 建材、自動車、包装資材) 銅と同じく建築材料や自動車、食品包装資材などで大量に消費される金属であるアルミの需要拡大は、我々の日常生活に於ても、中国の生活水準の高まりを通じて実感できる。新築ビルの窓枠や外壁(サッシ、カ−テンウォ−ル)、薬やお菓子の包装や家庭用アルミ箔ビ−ルや清涼飲料(アルミ缶)の他、自動車や機械の軽量化にもアルミが一役買っており、中国のアルミ需要は米国に次いで世界第二位で、揺るぎの無い巨大消費国となった。 一方、中国のアルミ生産の急増が世界の注目するところとなり、消費の伸びを上回る生産の伸びがあり、2002年は中国がアルミのネット輸出国に転じると言う歴史的な年であった。この背景には中国の有力輸出産品である石炭の生産者が、更に付加価値を高めた輸出への展開をはかり、石炭を火力にして発電、その電力を利用してアルミを生産する流れが一気に加速したことがあげられる。 今後の中国は巨大な消費国であると同時に、世界最大のアルミ生産国として国際アルミ市場に大きな影響力をもつことになる。 (4) WTO 加盟が業界に与える影響 WTOへの加盟は言わば中国が非鉄取引に於ての国際免許を取得する様なもので、この所、海外の目が一層中国に向きだしてきている。既に政府は、輸入税の低減、銀取引の自由化、更にこの1−2年での金取引自由化を発表するなど、数々の規制緩和策を実行に移している。これは、中国が取引の透明性を増し、諸外国からGlobal Standardで付合える相手として認知を受けることになるが、一方、国内業界は初期段階では大変な苦痛を伴う体制改革を強いられ、それに対応できない生産者・需要家・貿易公司は淘汰されて行くと言う大きな変革期を迎えるものと思われる。 また、競争の激化は価格変動への影響のみならず、非鉄産業の生産規模、管理体制、技術水準からRisk Controlに至るまで、多方面に影響を与えることになるであろう。またWTO加盟により、自由な競争メカニズムが導入され、経済や企業の発展に活力を呼び起こすことが期待され、長期的には中国に有利に働くと思われる。非鉄金属産業の国際化の遅れの一因は、主に中国のインフラ整備の立遅れ、即ち市場開放が遅れている金融、通信、保険、輸送、会計等の産業の未整備によるところが大きく、WTO加盟により大変革が予想されるこれら分野の改善によるインフラ整備が、中国の非鉄産業の発展を助長することが期待される。 (5)日本との関係 日本との非鉄金属の貿易(2001年)を見ると(表−3はネットの数字であるが)銅屑、銅・アルミ製品の中国向け、アルミ、亜鉛地金の日本向けが目に付く以外はベ−スとなる太い商流はこれと言ってない。これは資源の無い日本、資源があっても足りない中国が、最近のトランスプラントや中国の目覚しい工業発展により、輸入を必要とする地金原料、輸出をしたい地金・製品の種類が似通ってきていることを意味するものと思われる。日本と中国の関係は、一般貿易の時代から既に事業投資の時代へと移っており、家電や繊維で世界の生産基地となった中国の流れが着実に非鉄産業にも押し寄せており、電線、電池、加工品、IT関連部材等の最終製品から、伸銅品、軽圧品の半製品、更に地金に至るまで、各業種で多くの企業が中国での事業を展開しており、この合弁事業を通じた日中間の資本及び人的結びつきが、以前にも増して強固なものとなって来ている。
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