第3章 対外貿易・対外投資

1. 2003年の動向
(1)中国の対外貿易

 中国税関によると、2003年における中国の貿易総額は前年比37.1%増の8,512億700万ドルと、7,000億ドル、8,000億ドルの大台を1年で突破した。

 輸出入別の内訳をみると、輸出が前年比34.6%増の4,383億7,100万ドル、輸入が39.9%増の4,128億3,600万ドルと、いずれも30%以上の伸びを示した。輸入の伸びが輸出を上回ったことで、貿易黒字額は前年比48億9,200万ドル減の255億3,400万ドルと減少した。

 貿易が好調な背景には、WTO加盟に伴い、中国政府が貿易関連の規制を緩和していることが挙げられる。中国政府は2003年1月1日より、WTO譲許関税率表に基づき2,414関税品目に及ぶ輸入関税の引き下げを実施した。これにより2003年の平均輸入関税率(単純平均)は、2002年の12.0%から11.0%へと低下した。ITA(情報技術合意)対象の90品目の関税が無税化されたほか、自動車に対する関税も引き下げられた。関税の引き下げに加え、輸入許可証による管理品目を従前の12種170関税品目から、8種143関税品目に削減された。

 この他、旺盛な工業生産、固定資産投資額の伸びを原動力とした中国経済の高い成長も、貿易を大きく牽引した。

表1:中国の各年別輸出入概況 (増減率:%、その他:億ドル)

輸出入総額

増減率

輸出額

増減率

輸入額

増減率

貿易収支

1990年

1,154.40

3.4

620.9

18.2

533.5

-9.8

87.5

1991年

1,357.00

17.6

719.1

15.8

637.9

19.6

81.2

1992年

1,655.30

22

849.4

18.1

805.9

26.3

43.6

1993年

1,957.00

18.2

917.4

8

1,039.60

29

-122.2

1994年

2,366.20

20.9

1,210.10

31.9

1,156.10

11.2

53.9

1995年

2,808.60

18.7

1,487.80

23

1,320.80

14.2

167

1996年

2,898.80

3.2

1,510.50

1.5

1,388.30

5.1

122.2

1997年

3,251.60

12.2

1,827.90

21

1,423.70

2.5

404.2

1998年

3,239.50

-0.4

1,837.10

0.5

1,402.40

-1.5

434.8

1999年

3,606.30

11.3

1,949.30

6.1

1,657.00

18.2

292.3

2000年

4,743.00

31.5

2,492.00

27.8

2,250.90

35.8

241.1

2001年

5,096.50

7.5

2,661.00

6.8

2,435.50

8.2

225.5

2002年

6,207.70

21.8

3,256.00

22.4

2,951.70

21.2

304.3

2003年

8,512.10

37.1

4,383.70

34.6

4,128.40

39.9

255.3

 

出所:海関統計

 主要輸出相手国・地域をみると(表2)、第1位が米国で前年比32.3%増の924億7,400万ドル、第2位が香港で762億8,900万ドル(同30.5%増)、第3位が日本で594億2,300万ドル(同22.7%増)となっている。一方輸入では、第1位が日本で同38.7%増の741億5,100万ドル、第2位がEUで530億6,200万ドル(同37.7%増)、第3位が台湾で493億6,200万ドル(同29.7%増)となっている。

 対日貿易総額は同31.1%増の1,335億7,300万ドルと、2年連続で1,000億ドルを突破した。特に輸入が同38.7%増と急増、中国側統計による対日貿易収支は147億2,800万ドルの赤字と、2年連続で赤字を記録、赤字幅は2002年よりも拡大した。

表2:中国の主要国・地域別輸出入 (金額:百万ドル、構成比、増減率:%)
 

輸出

輸入

輸出入総額

 

2002年

2003年

2002年

2003年

2002年

2003年

 

金 額

金 額

構成比

増減率

金 額

金 額

構成比

増減率

金 額

金 額

構成比

増減率

アジア

170,359

222,606

50.8%

29.9

190,283

272,934

66.1%

42.4

360,642

495,540

58.2%

36.5

日 本

48,434

59,423

13.6%

22.7

53,466

74,151

18.0%

38.7

101,900

133,573

15.7%

31.1

香港

58,463

76,289

17.4%

30.5

10,726

11,119

2.7%

3.7

69,189

87,408

10.3%

26.3

ASEAN10

23,584

30,925

7.1%

31.1

31,197

47,327

11.5%

51.7

54,781

78,252

9.2%

42.8

(シンガポール)

6,984

8,869

2.0%

27

7,047

10,484

2.5%

48.8

14,031

19,352

2.3%

37.9

台湾

6,586

9,005

2.1%

36.7

38,061

49,362

12.0%

29.7

44,647

58,367

6.9%

30.7

韓国

15,535

20,096

4.6%

29.4

26,568

43,135

10.4%

51.0

42,103

63,231

7.4%

43.4

(日本+韓国)

63,968

79,519

18.1%

24.3

80,034

117,285

28.4%

46.5

144,002

196,804

23.1%

36.70%

北米

74,269

98,139

22.4%

32.1

30,877

38,258

9.3%

23.9

105,146

136,397

16.0%

29.7

米国

69,946

92,474

21.1%

32.2

27,238

33,861

8.2%

24.3

97,183

126,334

14.8%

30.0

カナダ

4,303

5,633

1.3%

30.9

3,627

4,375

1.1%

20.6

7,930

10,008

1.2%

26.2

欧州

59,222

88,273

20.1%

51.5

53,412

69,744

16.9%

34.2

112,634

158,017

18.6%

43.3

EU

48,208

72,155

16.5%

49.7

38,529

53,062

12.9%

37.7

86,738

125,217

14.7%

44.4

(ドイツ)

11,372

17,536

4.0%

54.2

16,416

24,341

5.9%

48.3

27,788

41,876

4.9%

50.7

(英国)

8,059

10,824

2.5%

34.3

3,336

3,570

0.9%

7.0

11,395

14,394

1.7%

26.3

(オランダ)

9,108

13,505

3.1%

48.3

1,572

1,934

0.5%

23.1

10,679

15,439

1.8%

44.6

(イタリア)

4,827

6,653

1.5%

37.8

4,319

5,080

1.2%

17.6

9,147

11,733

1.4%

28.3

(フランス)

4,072

7,294

1.7%

79.1

4,253

6,098

1.5%

43.4

8,325

13,391

1.6%

60.9

ロシア

3,521

6,035

1.4%

71.4

8,407

9,276

2.2%

15.7

11,927

15,761

1.9%

32.1

大洋州

5,289

7,289

1.7%

37.8

6,834

8,600

2.1%

25.9

12,123

15,890

1.9%

31.1

オーストラリア

4,585

6,263

1.4%

36.6

5,851

7,301

1.8%

24.8

10,436

13,563

1.6%

30.0

中南米

9,488

11,879

2.7%

25.2

8,336

14,927

3.6%

79.1

17,824

26,806

3.1%

50.4

アフリカ

6,961

10,184

2.3%

46.3

5,427

8,361

2.0%

54.1

12,388

18,545

2.2%

49.7

合計

325,596

438,371

100.0%

34.6

295,170

412,836

100.0%

39.9

620,766

851,207

100.0%

37.1

出所:税関統計(2003 年12月号)、税関統計2003年版

 地域別にみると、アジア向けの貿易が好調だ。輸出は、前年比20.9%増の1,703億1,500万ドル、輸入は同29.3%増の1,903億900万ドル、中国の貿易総額に占める対アジア貿易の割合は58.1%と、中国の対外貿易の過半数が対アジア貿易になっている。

 中国は、周辺国とのFTAの締結の動きを進めている。2002年11月、中国は、ASEANとの間で、「中国・ASEAN経済協力枠組み協定」に調印、2010~2015年までにASEANとのFTAを締結することで合意した。本合意に基づき、2004年1月1日から、ASEAN原加盟6カ国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ)との農水産品500品目の貿易自由化前倒し措置(アーリーハーベスト)を開始した。それに先駆け、中国はタイと2国間では、農産物(HSコード07、08)について、2003年10月1日から、前倒しでアーリーハーベストを開始した。

 この他中国は、2003年7月1日に、香港とマカオとの間でCEPA(経済緊密化協定)を締結し、いずれも2004年1月1日に発効した。これにより、香港、マカオを原産地とする273品目については、同日からゼロ関税となった。また273品目の中に含まれなかった、両地域を原産地とするその他の品目についても、2006年1月1日から自由化するとしている。

 このほか中国政府は、日本、韓国とのFTA締結にも積極的な姿勢を示している。中国側の積極姿勢を裏付けるかのように、これら地域との貿易は順調に拡大している。対ASEANの貿易状況をみると、輸出が前年比31.0%増の309億2,500万ドル、輸入が同51.7%増の473億2,700万ドルと急増している。また日本、韓国を合計した貿易額は、輸出が同24.3%増の795億1,900万ドル、輸入が同46.5%増の1,172億8,500万ドルと高い伸びを示している。

表3:2003年における中国の主要商品輸出額 単位:百万ドル

商品名

2002年

2003年

前年比増減(%)

機電製品

157,062

227,457

44.8

ハイテク製品

67,855

110,321

62.6

(主要商品別輸出額・金額順)

     

服装及び衣料品

41,185

51,916

26.1

自動データ処理機械及び部品

20,132

41,112

104.2

紡績用糸、織物及び同製品

20,581

26,928

30.8

自動データ処理機械の部品

13,121

18,226

38.9

靴類

11,090

12,955

16.8

テレビ・ラジオ・無線通信設備の部品

4,358

7,604

74.5

携帯・自動車用電話

5,280

7,369

39.6

プラスチック製品

6,052

7,318

20.9

家具及び部品

5,359

7,297

36.2

集積回路及び小型回路組立部品

4,157

6,412

54.2

玩具

5,574

5,979

7.3

ビデオカメラ・ビデオデッキ

4,331

5,935

37

旅行用具及びトランク、バッグ類

4,357

5,058

16.1

コンテナ

2,212

3,854

74.2

テープレコーダー、ビデオ及びレコードプレーヤーの部品

3,522

3,794

7.7

照明器具及び類似品

3,132

3,779

20.7

石油製品

2,385

3,721

56

テレビ(完成品・部品を含む)

2,396

3,472

44.9

水産物

2,871

3,332

16.1

テープレコーダー及びラジオつきレコーダー

2,962

3,135

5.8

出所:商務部ウェッブサイト

 輸出額を商品別にみると(表3)、機電製品、ハイテク製品の輸出額が急増している。機電製品は、前年比44.8%増の2,274億5,700万ドル、ハイテク関連製品は、同62.6%増の1,103億2,100万ドルとなっている。商品別にみると、自動データ処理設備および部品が同104.2%増の411億1,200万ドル、テレビ・ラジオ・無線通信設備の部品が同74.5%増の76億400万ドル、集積回路および小型回路組立部品が同54.2%増の64億1,200万ドルと激増している。また、労働集約型製品の輸出も堅調である。服装および衣料品:519億1,600万ドル(前年比26.1%増)、紡織用糸・織物及び同製品:269億2,800万ドル(同30.8%増)、靴類:129億5,500万ドル(同16.8%増)、プラスチック製品:73億1,800万ドル(同20.9%増)、家具及び部品:72億9,700万ドル(同36.2%増)、玩具:59億7,900万ドル(同7.3%増)などとなっている。

 輸入をみると(表4)、機電製品、ハイテク製品の輸入が急増している。機電製品は、同44.6%増の2,249億8,700万ドル、ハイテク製品は同44.0%増の1,193億100万ドルとなっている。特に輸入が旺盛な分野としては、ハイテク・高付加価値部品、各種原材料が大きい。集積回路およびマイクロ電子部品が同60.3%増の411億600万ドル、自動データ処理機械及び部品が同69.5%増の114億1,500万ドル、テレビ・ラジオ及び無線通信設備の部品が同75.4%増の72億1,100万ドル、自動車部品が同109.1%増の62億6,400万ドルなどと急増した。また、中国経済の発展により、原材料を中心とした需要も急増した。なかでも、鋼材が同61.1%増の199億1,600万ドル、原油が同55.3%増の198億900万ドル、鉄鉱砂・精選鉄鉱が同75.4%増の48億5,700万ドルなど急増している。

表4:2003年における中国の主要商品輸入額 単位:百万ドル

商品名

2002年

2003年

前年比増減(%)

機電製品

15,556

155,588

44.6

ハイテク製品

82,839

119,301

44

(主要商品別輸入額・金額順)

     

集積回路及び小型回路組立部品

25,644

41,106

60.3

鋼材

12,366

19,916

61.1

原油

12,757

19,809

55.3

初級形状のプラスチック

13,328

15,724

18

自動データ処理機械の部品

9,195

11,478

24.8

自動データ処理機械及び部品

6,733

11,415

69.5

テレビ・ラジオ及び無線通信設備の部品

4,111

7,211

75.4

計測分析自動制御器械と器具

4,686

6,670

42.3

電気回路保護器具及び部品

4,636

6,450

39.1

自動車部品

2,996

6,264

109.1

ダイオード(二極管)及び類似品の半導体電子部品

4,715

5,869

24.5

石油製品

3,798

5,861

54.3

未鍛造の銅と銅材

4,437

5,602

26.3

大豆

2,483

5,417

118.2

自動車とシャーシー

3,174

5,210

64.1

鉄鉱砂及び精選鉄鉱

2,769

4,857

75.4

紡績機械及び部品

3,518

4,372

24.3

金属加工工作機械

3,150

4,131

31.1

紙及びボール紙(未成形)

3,540

3,727

5.3

印刷電路

2,481

3,634

46.5

 

     
出所:商務部ウェッブサイト

 輸出入を通じた中国の貿易構造をみると、機電製品など同一カテゴリーにおける輸出入相互の動きがみられ、貿易構造の水平分業形態への移行が一層進みつつあるといえる。

 こうした貿易の増大は、外資系企業による貿易によるところが大きい。2003年における外資系企業による貿易総額は前年比43.0%増の4,722億6,000万ドル、うち輸出は同41.4%増の2,403億4,000万ドル、輸入は同44.7%増の2,319億1,000万ドルと、4割以上の伸びを示した。この結果、貿易総額に占める外資系企業の割合も増加、輸出が54.8%、輸入が56.2%と、2002年(輸出:52.2%、輸入54.3%)をいずれも大きく上回った。

 外資系企業以外の企業形態別では、国有企業が同12.4%増の1,380億3,000万ドル、集体企業は同33.3%増の251億3,000万ドル、私営企業は同152.2%増の347億5,000万ドルと、私営企業の著しい伸びが目立つ。輸入でみても、国有企業が同24.5%増の1,424億8,000万ドル、集体企業は同39.7%増の132億4,000万ドルなのに対し、私営企業は同157.0%増の245億7,000万ドルと急増している。

(2)日本の対中貿易

 財務省貿易統計(円ベース、輸出は確報値、輸入は速報値)をもとにジェトロがドル建て換算したところ、2003年の日中貿易総額は1,324億2,849万ドル(前年比30.4%増)と99年以降5年連続で過去最高額を更新した。

 うち輸出は572億3,899万ドル(43.6%増)と、99年以降5年連続の増加となった。半導体等電子部品(45.6%増)、音響映像機器の部分品(113.9%増)、通信機(54.7%増)、映像機器(114.9%増)などと、建設機械や工作機械などの産業機械が増加した。また、中国国内の自動車生産の拡大を背景に、自動車の部分品(104.9%増)、自動車(30.1%増)、主として自動車生産向けの鉄鋼・化学製品が輸出を牽引し、大幅続伸となった。

 日本の輸出先の第一位である米国向けは前年比2.6%減(シェア24.6%)となったのに対し、第二位である対中輸出は43.6%増(シェア12.2%)と、輸出市場としての存在感が高まった。 

 一方、輸入についても751億8,950万ドル(21.9%増)と、99年以降5年連続の増加となった。日系企業の生産拠点の中国シフトに伴い、パソコンやプリンターなどの事務用機器(56.3%増)、DVDプレーヤーなどの音響映像機器(25.9%増)が増加した。また、2002年は減少した繊維製品も、カジュアル製品の販売が好調で、衣類・同付属品が12.7%増と堅調に推移した。一方、鳥インフルエンザなどの問題から、食料品(4.5%増)は伸び悩んだ。

 日本の対中貿易赤字は179億5,052万ドルと、2002年に比べ38億7,551万ドルの縮小となった。香港経由を含めた実質的な日中貿易を勘案すると、中国のWTO加盟後、貿易収支は急速に均衡に向かいつつある。

 2004年の対中貿易は、輸出の増加要因として、①日系企業の生産拠点のシフトが続くこと、②中国の内需が旺盛で、引き続き電子部品、工作機械・建設機械、自動車部品など一般機械の輸出増加が見込まれること、輸入の増加要因としては、①日系企業の生産拠点の中国シフトに伴い、一層の製品輸入の増加が見込まれること、②日本国内の景気に回復傾向がうかがえることが挙げられる。

(3)対外直接投資受け入れ

 2003年における中国の対内直接投資額(実行ベース)は535億500万ドルと、前年比1.4%増の微増にとどまった(表5参照)。一方契約ベースでは、1993年以来9年ぶりに1,000億ドルを突破するなど好調であった。なお投資金額でみると、契約、実行ベースとも過去最高を記録した。また、契約ベースの対内直接投資をみると、件数では前年比20.2%増の4万1,081件、金額では同39.0%増の1,150億7,000万ドルとなっている。

表5:中国の国・地域別対外直接投資受け入れ状況(実行ベース金額順)
(件数:件、金額:100万ドル、前年比増減:%)

国・地域

契約ベース

       

実行ベース

 
 

2003年件数

前年比増減

2003年金額

前年比増減

1件あたりの平均投資金額

2003年金額

前年比増減

合計

41,081

20.2

115,070

39

2.8

53,505

1.4

香港

13,633

25.7

40,708

61.5

3

17,700

-0.9

バージン諸島

2,218

13.2

12,661

0.1

5.7

5,777

-5.6

日本

3,254

18.5

7,955

50.2

2.4

5,054

20.6

韓国

4,920

22.8

9,177

73.7

1.9

4,489

65

米国

4,961

20.7

10,161

24.6

2

4,199

-22.6

台湾

4,495

-7.4

8,558

27

1.9

3,377

-14.9

シンガポール

1,144

23

3,419

22.7

3

2,058

-11.9

西サモア

678

27.2

2,584

37.6

3.8

986

12.1

ケイマン諸島

217

9.1

1,695

-25

7.8

866

-26.6

ドイツ

451

28.1

1,391

52

3.1

857

-7.7

英国

438

31.1

1,209

5.9

2.8

742

-17.1

出所:中国商務部統計
注:1件あたりの平均投資金額はジェトロにて算出

 2003年の対内直接投資(実行ベース)が微増にとどまったことについては、以下の要因が挙げられる。

① SARSによる影響
② 2002年における対内直接投資額の増加幅が大きかったことによる伸び悩み
③ 2001年以降減少傾向にある世界の直接投資トレンドの影響
④ 2004年1月1日からの香港とのCEPA(経済・貿易緊密化協定)の施行を前にした投資案件の実施先送り
⑤ 先進諸国の経済回復による直接投資の中国から他地域へのシフト
⑥ 中国政府による外資統計の取り方の厳格化

 こうした要因の中で、影響が大きかった要因の一つとしては、対中投資相手国・地域別で1位を占める香港からの投資は177億ドルと前年比微減(0.9%減)で推移したことが挙げられる。1月1日からのCEPA施行に伴い、17のサービス分野について、WTO議定書によるスケジュールに先駆け、香港法人企業に対し規制緩和が前倒しで実施された。一部の企業では、これを見越して投資時期を2004年に延期する動きがあったものとみられる。

 このほか有力なのは、2003年7月以降、実行ベースの投資金額について、会計士などによる資金投入状況のチェックを受けた案件のみ申請を受理するなど、中央政府がチェック体制を強化したことが挙げられる。実際に7月以降、月別の対内直接投資額は5カ月連続で減少を続けた。

 2003年の対内直接投資を国・地域別にみると、韓国からの投資が最も好調で、同65.0%増の44億8,900万ドルと大幅に増加した。

 次いで日本からの投資が好調で、同20.6%増の50億5,400万ドルと初めて50億ドルの大台を突破した。契約ベースの投資額も同33.1%増の79億6,000万ドルと過去最高を記録した。投資形態としては、中国の国内需要の増加に対応した、内販型の投資が増加。した。特に自動車分野では、中国大手自動車メーカーとの連携に伴う組立メーカーの投資が増加、それに伴う部品メーカーの投資も活発化している。原材料・部材関連では、鋼材関係の需要増に伴う投資が増加傾向にある。一方のサービス分野では、国内販売活動を強化するべく、販売機能の強化を行う動きが活発化している。


 大型案件の投資の急増により、1プロジェクトあたりの平均投資金額も2002年の193万ドルから、2003年には244万ドルと、再び増加に転じている。一方で、2002年から本格化した中小企業の対中投資は維持されているとみられる。

 その他の国・地域からの投資をみると、例年投資金額上位を占める米国、台湾、シンガポールからの投資はいずれも減少、特に米国からの投資金額は31.3%減少した。またバージン諸島、ケイマン諸島などタックスヘイブンからの投資も減少した。一方で、新たなタックスヘイブンとして、西サモアからの投資は増加、投資相手先として初めて上位10位入りした。

 実行ベースによる形態別外資導入額をみると、合弁形態が前年比2.7%増の153億9,200万ドル、合作形態が同24.1%減の38億3,600万ドル、独資形態が同5.2%増の333億8,400万ドルとなっている。2003年における実行ベースでの投資金額に占める独資形態の割合は62.4%と、独資化の動きは年々進んでいることが分かる。

2.2003年における中国の貿易・投資の見通し

 2004年の中国の貿易・直接投資受け入れ額は、引き続いての中国経済の発展、WTO加盟による貿易・投資規制の緩和等により、引き続き堅調に推移するものとみられる。

 貿易面では、中国税関総署は2003年1月1日より、WTO譲許関税率表に基づき2,414関税品目に及ぶ輸入関税の引き下げを実施した。これにより2004年の平均輸入関税率(単純平均)は、2002年の11.0%から10.4%へと低下した。今回の関税引き下げに伴い、カテゴリー別の平均関税率は、工業品が10.3%から9.5%に、農産品が16.8%から15.6%とそれぞれ低下した。また情報技術協定(ITA)対象品目の無税化も引き続き図られ、対象256品目のうち、既に232品目がゼロ関税となった。これにより、既に関税が撤廃された対象品目は全体品目の90.6%に達し、同対象品目の平均関税率は1.5%から0.43%に低下した。(残りの品目は2005年までに無税化の予定)。また輸入許可証対象品目も、2003年の8種類143品目から削減され、2004年1月1日からは、5種類123品目に減少した。

 こうした関税引き下げ、貿易規制等の緩和は、中国の輸入増加に対する誘因となっている。実際、2004年1~2月期の輸入額の伸びは、前年同期比57.1%増と高い伸びを示している。中国政府は、2004年における対外貿易総額の伸び率目標を8%(全国人民代表大会における馬凱・国家発展・改革委員会主任報告)としているが、現在までのところ、輸出入とも目標をはるかに超える伸び率を示している。不確定要素はあるものの、2004年の中国の貿易は引き続き堅調に推移するものとみられる。

 一方、2004年における中国の対内直接投資のトレンドは、引き続き増加基調を辿るものとみられる。契約ベースでの投資金額を考慮すると700億ドル突破するとの見方もある。日本からの投資については、2003年の契約金額が過去最高を記録しており、契約ベースの投資案件が着実に実施されれば、プラス成長が期待できる。

 またCEPAの施行により、香港からのサービス産業分野の投資規制が緩和されることも寄与するものとみられる。香港以外の地域からのサービス分野での投資も、WTO議定書に基づき、2004年12月までに中国が実施されることとなっている外国企業に対する小売・卸売分野などでの市場開放に前後して、投資の拡大が予想される。このほか製造業分野でも、自動車、石油化学、電子機械分野を中心とする投資が引き続き伸長するものとみられる。

 懸念材料としては、2004年1月1日から施行された 輸出増値税の還付率引き下げの影響である。輸出志向型企業を中心に、影響が出ることが懸念される。

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