|
5.新エネルギー
はじめに
好調な経済成長が続く中国では、エネルギー多消費産業、特に鉄、セメント、化学産業等設備投資拡大により、電力の消費量は大幅に伸びる一方、1998年から2001年まで、中国政府は新規の火力発電所の建設を許可しなかったため、2003年夏、上海を中心とする長江デルタ地域では深刻な電力不足に陥り、計画停電という事態が起こった。大規模な電源開発を進める一方、風力発電、太陽光等再生可能エネルギーの補助電源としての重要性も認識させられている。
また、環境保全の観点から、中国政府は、先進国の取り組みを参考に従来の石炭火力発電等と競争できるように再生エネルギー割当制(RPS)、グリッド併入法及び競争的入札制度(NFFO)等「グリーン電源」導入に係る優遇策を検討している。
なお、オリンピック誘致成功と上海万博の開催等により、中国国内では都市部における系統連携型のような大型太陽光発電の導入の機運が高まりつつある。
つまり、現在、中国では新エネルギーは従来の遠隔地の未電化村落を対象とする太陽光、風力等新エネルギーによる電化計画「光明工程」、「通電到郷」に見られるような分散型、小型発電システムから都市部における大型の系統連携システムへ発展しつつある。
(1)風力
中国では、風力開発のポテンシャルは10億KWと言われているが、風力密度が高く、しかも利用できる時間数の多い地域は東北、西北、華北「三北」と沿岸部、離島に集中している。
(表1)中国の風力資源の分布状況
地域別 |
時間数(h) |
有効風力
エネルギー密度
(W/㎡) |
主要の地域 |
年間平均風速3m/s |
年間平均風速
6m/s以上 |
1 |
7000~8000 |
4000以上 |
200以上 |
東南沿海及びその附近島々 |
2 |
5000以上 |
3000以上 |
200から300 |
新疆北部、内蒙古、甘粛省北部 |
3 |
5000 |
3000 |
200以上 |
黒龍江省、吉林省、河北省北部 |
4 |
4000~5000 |
3000以上 |
150から200 |
青海省、チベット北部 |
5 |
2000以下 |
150以下 |
50以下 |
雲南、貴州、四川等 |
出典:国電信息中心資料
新規の風力発電事業を行なう際、公開入札で落札した業者は政府から権利(concession)を獲得するという方式が導入されている。風状、規模等によって、コストが異なるが、現在、風力発電のコストは通常の火力発電とほぼ同水準に達していると言われている。
また、中国国内では分散型の小型風力発電機メーカは約40社あり、年間の生産能力は3万台以上に達している。中国企業と先進国企業との合弁で大型風力発電機の国産化を図ろうとしているが、現在単機600Wの風力発電機の国産化が実現した。例えば、内蒙古自治区の天力風力機械公司と同自治区の華徳新技術公司はそれぞれ、フランスAEROWATT社とドイツのWENUS社とJVを設立し、5KWの風力発電機を生産している。また、湖南湘潭電機公司はアメリカのBERGEY社と協力し、600W及び1KWの風力発電機を生産している。同社の製品は中国国内のみならず、海外にも一部輸出している。因みに、国産の風力発電機のコストは輸入品より15%~20%安いと言われている。
更に、中国政府は、再生可能エネルギーのCDM案件を奨励するため、今後、風力のCDM案件が増えてくると予想されている。2003年、オランダCERUPTが内蒙古の古輝騰錫勒で実施した19.2MWの風力発電事業は国家発展・改革委員会等中国政府関係機関にCDMとして認定された。当プロジェクトのCO2削減量は600248トンと予想され、CO2の単価を5.4ユーロ/トンとする場合、10年間約324万ユーロの利益が獲得できる。
(2)太陽光
中国では、太陽エネルギー資源に恵まれている地域が多く、年間の日照時間が3000時間以上に達する地域は国土面積の2/3以上を占める。
(表2)
地域別 |
年度日射時間
(h) |
年輻射総量
(10³J/㎡) |
主要地域 |
1 |
2800~3300 |
6.72~8.40 |
寧夏北部、甘粛北部、新疆東南部、青海西部とチベット西部 |
2 |
3000~3200 |
5.86~6.72 |
河北西北部、山西北部、内蒙古、寧夏南部、甘粛中部、青海東部、チベット東南部と新疆南部 |
3 |
2200~3000 |
5.02~5.86 |
北京、天津、山東、河南、新疆北部、海南、江蘇、広東等 |
4 |
1400~2200 |
4.20~5.02 |
湖北、湖南、江西、黒竜江等 |
5 |
1000~1400 |
3.35~4.20 |
四川、貴州等 |
出典:国電信息中心資料
2002年代から、国家発展・改革委員会の主導により、中国中西部の遠隔地における未電化村落の太陽光等新エネルギー導入による電化計画「光明工程」プロジェクトが行なわれてきている。
「光明工程」第一期行動計画(「送電到郷」)については、2002年から2006年にかけて、中央政府、地方政府は約100億元の資金を投入し、未電化村落で生活している800人の住民と2000の未電化村落等を対象に電化を行なう。
具体的には、同事業計画の対象地域はチベット自治区、新疆ウィグル自治区、青海省、内蒙古、甘粛省、陝西省、四川省の7自治区内または省内におけるグリッドから25km以上離れている場所に限定されており、分散型PVシステム、太陽光・風力ハイブリッドシステムの導入を通じて現地の住民に電気を提供する方式である。
今までの分散型太陽光の実績を踏まえて、深圳では大型の系統連携太陽光事業が実施されているほか、各地でメガワット級の系統連携太陽光発電事業計画が見られている。特に、最近タクラマカン砂漠における太陽光活用型の砂漠緑化事業計画も検討されている。
また、「光明工程」事業の実施とともに、中国政府は太陽光産業の育成を進めている。秦皇島、保定等で生産ラインが導入され、本格的に太陽パネル、電池等の生産が始まっている。特に、「光明工程」の対象となる自治区、省において、それぞれ太陽光発電システムの組み立て、設置、アフター・サービス等業務を手がける会社が育てられている。しかし、インバーターのような高度な製品は未だに国産化できていないとのこと。
中国では、電力グリッドがカバーできない未電化地域の面積が広く、人口も多いため、遠隔地の太陽光発電のポテンシャルはきわめて高い。「第十一次五ヵ年計画」期間中には、遠隔地の通信用と産業用太陽光発電システムの割合は現在の40%~50%から20%から30%に下がり、民生用太陽光発電システムの割合は現在の30%から40%~50%に上がると予想されている。
また、環境負荷の軽減、補助電源の拡大等の観点から、今後、都市部において、大規模な系統連携太陽光発電の促進のための制度整備は必要になってくると思われる。
太陽光分野についての国際協力の代表的な事例は下記の通り。
2003年から、NEDOは国家発展・改革委員会能源局と共同で、北京、甘粛省と新疆ウィグル自治区においてそれぞれ系統連携、太陽光・風力ハイブリッドシステム、水冷型PV研究協力事業を行なってきている。
ドイツ技術合作会社(GTZ)は、中国政府に中国西部の新疆と青海省の遠隔地の学校と診療所の太陽光発電システムの設置事業に、2000万ドイツマルクの無償資金を提供した。
オランダ政府は「新疆シルクロード光明工程」への支援を決めた。シェル社に委託し、2500万ドルの資金を投入して、新疆自治区の無電化村で78000セットの家庭用太陽光発電システムの普及を予定する。
(3)その他
・現在全国九省ではバイオ・エタノールは試験的に導入されている。
・農村部では、ワラのガス化発電はかなり普及されている。
・家禽・家畜の飼育場から発生する糞尿を利用し、メタンガスを発生させ、発電を行なう方式が注目されている。
・地熱発電
既設の地熱発電は主にチベット羊八井と雲南省騰沖に集中している。しかし、羊八井地熱発電所等では設備の老朽化が進んでおり、発電効率が低下しているため、今後設備改造、増設を行なう計画がある。
・地中熱利用
ヒートポンプ技術で地中熱を抽出し、住宅団地に熱供給を行なう環境に優しい地中熱利用技術は北京等で試験的に展開されている。
|