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3.化粧品 (1)化粧品産業の概況
1980年代から手探りで市場開発を進めてきた本業界のグローバル企業の各社が、90年代後半から本腰を入れて市場拡大に切磋琢磨しているのが今日的な状況である。各都市の高級デパートの店頭を見れば、そこは欧米や日本とも大差ない高級化粧品売場となっており、各社の販売員が消費者の対応に追われている。
化粧品市場としてこの国を見た場合、その規模、成長度合、将来性とあらゆる面で魅力的な市場であり、資生堂グループ、ロレアルグループ、P&Gグループ、エスティーローダーグループなど、世界の有力企業がほぼ出揃い、シェア拡大に向けた激しい競争を展開しているほか、大手企業によるブランド買収などもすすんでいる。
外資化粧品会社の展開方法にはふたつのケースがある。ひとつは輸入品で展開する方法、もうひとつは現地生産化をして国産品として展開する方法である。国産品の成功例としては、資生堂が中国の女性のために開発し市場導入した高級化粧品ブランド「オプレ」が著名である。一方、輸入品は高級輸入品ブランドとして高級志向の高所得層の人気を集めている。沿岸部を中心に高所得層が拡大しつつあり、高級化粧品ビジネスの伸長は当分の間続くものと考える。
(2)ファッショントレンド
中国の女性は、白く透き通った美しい肌への憧れが強く、スキンケアへの関心が高い。また、北京など乾燥した地域が多く、女性にとってお手入れは不可欠のものとなっている。
おしゃれに対する意識は20代、30代を中心に急激に高まっている。髪を染め、メークをしっかりしてボーイフレンドとともに街を散策する女性が都市部では非常に目立つようになった。そしてエステティックサロンやネールサロンも活況を呈している。もちろん、まだまだ都市部と周辺部とでは状況が異なるし、個人差も大きい。しかし、こうした美への憧れが急速に進んでいることは確実である。
一方、男性について言えば、女性の変化と比べればおしゃれに対する動きが鈍い。ただ若年層を中心に着実に進行していると推測され、男性用の化粧品市場がブレークするときも近いように思われる。
(3)近年の動向
1996年以降の中国化粧品業界の市場規模、推移は下表のとおりである。中国の経済成長率7~8%を大きく上回る伸長率を示しており、この業界の勢いを表している。2003年度は750億元(約1兆円)の規模に達し、この伸長率で拡大すれば、数年後には日本の市場規模(約1兆5,000億円)に到達することも考えられる。
〔中国化粧品業界売上推移〕
年度 |
業界売上 |
前年比 |
備考 |
1996年 |
220億元 |
115% |
メーカー数約2,800社 |
1997年 |
253億元 |
115% |
メーカー数約3,100社 |
1998年 |
273億元 |
108% |
メーカー数約3,400社 |
1999年 |
297億元 |
109% |
メーカー数約3,700社 |
2000年 |
350億元 |
118% |
データーなし |
2001年 |
410億元 |
117% |
データーなし |
2002年 |
460億元 |
112% |
データーなし |
2003年 |
750億元 |
163% |
※集計方式の改訂あり |
(4)2003年の化粧品業界
2002年3月にBSE発生国からの化粧品ならびに化粧品原料の輸入に際してはその安全性の証明が必要との公告が発せられ、同年12月に日中政府間合意は成立したものの、煩雑な輸入手続業務が必要となり、2003年度当初はBSE発生国からの安定した商品輸入が難しい状況が続いた。
しかし、後半以降は同業務も円滑にすすむようになり、以前のような状態に戻ったが、2003年12月に発生した米国でのBSE問題に伴う米国生産化粧品の輸入に関するルールが未だに確立されておらず、このまま米中交渉が長引けば支障が生じる企業も出てくることは必至である。
また、2003年4~6月の3ヵ月間SARSの脅威が中国全土に拡がり、デパートの集客が一時的に大きく低下したことによって、化粧品各社の売上も一旦は厳しい状況となったが、6月末の終息宣言以降、急速に市場は活性化し、以前の成長軌道に戻った。この国の勢いを改めて感じる思いである。
こうした状況の中ではリスクマネジメントに終始していた感があるが、下期以降は各社の積極的なマーケティング展開が再開され、イベントや宣伝活動などが一層大きく展開された。また、今後の事業拡大、新ブランドの導入などについての各社の話題が目を引いた。
(5)WTO加盟の影響
化粧品の関税引き下げが段階的に進められている。化粧品については中期の引き下げ計画は明示されていないため、毎年案内がされる。関税は品種別に異なるが、代表的なものでは、2004年1月の引き下げにより、スキンケア22.3%⇒19.2%、メーキャップ(目もと、口もと)およびフレグランス18.3%⇒14.2%となった。また、化粧品には付加価値税として消費税がかけられている。WTOの取り決めにはないが、化粧品は日用品としての性格が強く、撤廃もしくは引き下げの要望をしている。
また、高級化粧品の偽物が横行しており、知的財産権の視点から当局へ取り締まりの要求を行っている。加えて偽レーベルを添付した並行輸入品も多く市場に出回っている。ブランドイメージの低下という観点だけでなく、商品の安全性の観点からも本問題に対しては臨んでいくことが肝要である。
これは化粧品業界特有の問題ではないが、輸入品の貿易権、国内流通権を今後外資企業にも開放する方針が打ち出されている。WTO加盟に伴う一連の規制緩和は、本業界の今後の競争を加速することにつながると考えられる。
(6)2004年度の展望
BSE問題、SARSの発生と、化粧品業界にとっては2002~2003年にかけて大きな試練となったが、それでも美しさを求める多くの女性の欲求は引き続き旺盛であり、化粧品業界の成長トレンドには大きな変化はなく、多くの企業は業績を拡大しつつある。
2004年はアテネオリンピックが開催され、その後はいよいよ北京オリンピックに向けての諸準備が本格化するのと同時に、一層の経済発展が想定され、化粧品業界も更なる活性化が期待される。こうした中で人々の生活も豊かさが増し、国際性も高まることが容易に考えられ、本業界全体も中国の発展とともに成長していくものと確信する。こうした機会を捉えた事業拡大がますます伸展し、世界的なメーカーによるシェア拡大競争はますます過熱することが必至である。
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