第5章 輸送機械

2. オートバイ
(1)2003年の中国二輪車産業の動向

 2003年の年間生産台数は1,465.8万台、販売は1,475.5万台となった。生産・販売ともに約50万台の三輪車が含まれている。2003年は生産・販売とも過去最高の実績であり、生産は前年より167.7万台増加し前年比12.9%伸長し、販売は前年より168.8万台増加し前年比12.9%増長した(生産・販売とも同じ伸び率)。このように中国二輪車産業が過去最高を記録した要因として、中国の関係筋は次のように分析している。

  • 経済成長による国民の生活条件及び収入水準の向上に対し、二輪車の価格がだんだん下っている。また、人口の多い農民消費者の購買力が大きくなっている。
  • 二輪車は移動用の足として使われるだけでなく、商売の上でも運送の道具として消費者に認められた。
  • 政府の二輪車業界に対する政策(製品強制認証、生産許可制度など)により、企業間の競争がより公平かつ合理的になり、企業のやる気を引き出した。
  • 企業は、市場を重視し消費者の需要に適応する新製品を開発・販売した。
  • 二輪車の輸出は、59社が行い278.4万台に達した。これは前年比50.6%の伸びで二輪車業界の伸びを大幅に上回った。

(表-1) 2003年度中国二輪車企業 生産上位10社

企業名称

1~12月累計

(台)

前年同期

(台)

増加率(%)

占拠率(%)

合計(144社)

14,657,748

12,980,888

12.92

 

江門市大長江集団有限公司

1,009,926

778,297

29.76

6.69

銭江集団有限公司

981,053

851,318

15.24

6.69

中国嘉陵工業股份有限公司(集団)

968,752

882,690

9.75

6.61

重慶力帆実業(集団)有限公司

825,608

713,360

15.74

5.63

隆鑫集団有限公司

818,120

634,863

28.87

5.58

新大洲本田摩托有限公司

788,439

617,000

27.79

5.38

宗申産業集団有限公司

779,737

611,015

27.61

5.32

建設工業(集団)有限責任公司

750,881

400,812

87.34

5.12

洛陽北方企業集団有限公司

723,422

548,228

31.96

4.94

金城集団有限公司

704,597

538,329

30.89

4.81

合計(上位10社)

8,350,535

6,575,912

26.99

56.97

(表-2) 2003年度中国二輪車企業販売上位10社

企業名称

1~12月累計

(台)

前年同期

(台)

増加率(%)

占拠率(%)

合計 (144社)

14,754,513

13,066,352

12.92

 

江門市大長江集団有限公司

1,046,309

758,178

38.00

7.09

銭江集団有限公司

982,822

857,753

14.58

6.66

中国嘉陵工業股份有限公司(集団)

960,577

900,641

6.65

6.51

新大洲本田摩托有限公司

830,977

634,213

31.02

5.63

重慶力帆実業(集団)有限公司

825,287

713,999

15.59

5.59

隆鑫集団有限公司

818,288

629,430

30.00

5.55

宗申産業集団有限公司

790,282

601,470

31.39

5.36

洛陽北方企業集団有限公司

737,708

541,304

36.28

5.00

建設工業(集団)有限責任公司

730,550

436,360

67.42

4.95

金城集団有限公司

694,391

542,218

28.06

4.71

合計(上位10社)

8,417,191

6,615,566

27.23

57.05


(表-3) 2003年度 地域別二輪車生産台数


 余談――上記の通り、二輪車の地域別生産台数は重慶市が飛び抜けて多い。では重慶市では二輪車が多く使われているかと言うと、実は反対で非常に少ない。ではその理由は何でしょう?答と思われる理由は末尾に......。

(表-4) 1994~2003年 中国二輪車生産台数


(2)2003年度中国二輪車企業の売上高と利益

 2003年の中国二輪車企業全社の売上高は6,026,754万元、税前利益は69,550万元で、売上高利益率は1.15%であった。全社の台当り平均売上単価は4,084元、一方、売上高上位10社の台当り売上単価も4,278元であまり差がない。利益面では、利益額上位5社の売上高利益率が3.9%と全社平均を大幅に上回った一方、37社が赤字決算であった。

 以上より、中国二輪車産業は、小規模企業の乱立が競争の激化を招き、薄利の営業を余儀なくされ、一定量を扱うことのできる企業のみが生き残っていると言う姿が読み取れる。

 

(表-5) 2003年度中国二輪車企業 売上高上位5社

企業名称

1~12月累計

(万元)

前年同期

(万元)

増加率

(%)

増加額

(万元)

合計(144社)

6,026,754

5,441,038

10.76

585,716

重慶力帆実業(集団)有限公司

457,620

402,430

13.71

55,190

江門市大長江集団有限公司

397,005

305,305

30.04

91,700

隆鑫集団有限公司

363,399

342,713

6.04

20,686

宗申産業集団有限公司

355,319

313,306

13.41

42,013

新大洲本田摩托有限公司

332,643

258,050

28.91

74,593

 

(表-6) 2003年度 中国二輪車企業 利益上位5社

企業名称

1~12月累計

(万元)

前年同期

(万元)

増加率

(%)

増加額

(万元)

合計(144社)

69,550

-23,728

 

93,278

江門市大長江集団有限公司

26,699

17,328

54.08

9,371

銭江集団有限公司

12,970

15,384

-15.69

-2,414

重慶力帆実業(集団)有限公司

12,575

7,529

67.02

5,046

隆鑫集団有限公司

11,761

12,807

-8.17

-1,046

宗申産業集団有限公司

9,929

6,701

48.17

3,228

(3)中国における日系企業

 日本の二輪車メーカーの中国二輪車産業との関わりは下表の通りである。日本メーカーのブランドを付けた二輪車の販売は、150万台程度と推定されるので、中国の全二輪車販売台数の10%を占めるに過ぎない。

 品質に問題がある現地メーカーの製品でも市場に投入され、薄利多売の環境の中では、日本メーカーの特色を生かすに至らなかったことが実情である。しかし、中国の二輪車業界では既に淘汰の時代が始まり、技術に裏打ちされた高品質の製品とアフターサービスを市場に提供しなければ生きていけない状況が生まれている。消費者の収入が増加し、市場の要求が厳しくなればなるほど、そして市場が成熟すればするほど日本メーカーの再度の出番が回ってくるものと思われる。

(表-7) 日本メーカー提携関係

日本メーカー

提携先

提携内容

合 弁

ライセンス契約

ホンダ

新大洲本田摩托有限公司

 

五羊-本田摩托(広州)有限公司

 

中国嘉陵工業股份有限公司(集団)

 

ヤマハ

建設工業(集団)有限責任公司

 

中国南方航空動力機械公司

 

スズキ

金城集団有限公司

 

中国軽騎集団有限公司

 

江門市大長江集団有限公司

 


(4)中国二輪車業界における知的財産権問題

 全ての業界の中でも、日本の二輪車業界の知財権侵害問題に対する取組は積極的であり、その成果も出ていると言える。しかしながらこの問題を根本から解決することは民間企業では不可能と言える。何故なら、1500万台に近い二輪車が生産されている中でどれが知的財産権侵害に当るのか、見つけ出すだけでも気の遠くなるような作業になる。

 日本自動車工業会(JAMA)は、2002年より中国汽車工業協会(CAAM)と共同で二輪車知的財産権紛争に関する調停機関の設置を提唱し、数度の協議を経て2004年3月19日に正式に調停機関が設立されることになった。

 ニセモノが流通し市場にはびこるにはそれなりの土壌がある。完成車メーカーから部品メーカーに正式な図面に基づき発注した部品は、日本では発注元の完成車メーカーにしか納入されない。その図面に知的財産権が存在するからである。しかしながら、中国の部品メーカーは、その部品や不合格部品を修理用部品として市場に流し、また別の完成車メーカーにも生産用部品として販売する。こうしたことが日常茶飯事として行われている限り、川下に関所を作っても意味のないものになる恐れがある。部品メーカーが完成車メーカーとの購買契約に違反した場合、取引中止を含む罰則規定を設けるのも一つの方法である。ニセモノが造り出される要因を、その発生の源から潰す作業も大変重要と言える。

余談の答― ① 重慶は山城と言われるほど起伏が激しい町である。従って多くの重慶人は子供の頃、自転車に乗る練習をして       いない。だから自転車に乗れない、自転車に乗れないから二輪車に乗れない、二輪車が売れない。

      ② 起伏が激しいため、自宅アパートは道路より数メートル下った所か、上った所にある。上り下りの階段を二輪       車で行き来するのは大変不便である。

表の出所:中国汽車工業協会「中国汽車工業(摩托車部分)総合信息」2003年第12期

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