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3.造船 (1)中国造船業の概要
中国における造船産業は、次の2つの国有造船企業グループと、その他のグループに分類される。
①CSIC(中国船舶重工集団公司)- 主として北部と西部地区の造船所、船用機器製造 所を統括。
②CSSC(中国船舶工業集団公司)- 主として上海、沿海、南部地区を統括。
③その他のグループ-地方政府の管轄下の造船企業、外資との合弁企業等。
船舶建造能力は①,②,③のグループが拮抗しており、それぞれに中長期的な発展計画を立て、国際的な造船需要の伸びを背景にめざましい成長を遂げている。
先ず、CSICについては、2003年1月に今後20年の間に“ホップステップジャンプで、企業規模を倍、倍、倍(利益ベース、中国語で「三歩走、翻三番」)にする”との発展目標を定めている。一方、CSSCは“2005年に世界第5位、2010年には世界第3位、さらに中国共産党の成立100周年にあたる2021年には世界最大の造船企業集団とする”との発展目標を打ち出している。また、造船業の盛んな江蘇、山東等の地域では省市等が独自の発展計画を打ち出しており、各企業グループ毎に、また各地域ごとに競い合う形で成長している。
(2)2003年の中国造船業界
(受注・建造動向)
2003年、中国造船業は著しい躍進を遂げた。年間の新造船受注は約1850万DWT(前年比182%増)、建造(竣工ベース)605万DWT(前年比45%増)、手持工事2659万DWT(前年比102%増)であった。うち、CSIC及びCSSCの二大国営企業集団は新造船受注量で69%、建造量で62%、手持ち工事で67%を占めている。〔表1〕〔表2〕
注1:国家船舶行業統計速報に基づくデータ。香港、マカオ、台湾を除く。以下同じ。
注2:100GT以上の鋼製動力船舶及びFPSOを対象。以下同じ。
現在、国際新造船マーケットは中国のめざましい経済背長等を背景に記録的な新造発注ブームとなっているが、その中で中国は建造量で約11%、新船受注量で約18%のシェアを確保する見込みである。
建造される船種も、バラ積み船、タンカー等の在来型の大宗船舶から高速フェリー、大型コンテナ船、FPSO船(浮体式石油生産貯蔵積出ユニット)などまで広がりつつあり、現在、大型LNG船の建造開始時期に多くの関係者の耳目が集まっている。また、建造船舶に占める大型船の割合も高まっており、竣工船舶のうち7万DWT以上の船舶(3000TEU以上のコンテナ船を含む。以下同じ。)の割合は46.9%、竣工船舶の平均トン数は2002年に7000DWT足らずであったものが、2003年は1.1万DWTとなっている。さらに新造船受注分について見れば7万DWT以上の船舶の占める割合が20%近く増加、67%に達している。
一方、海外からの受注船舶(輸出船)も前年に続き大幅に増加しており、2003年の中国の船舶輸出は約30.2億ドル(前年比57%増)に達し、中国における重要な輸出産業の一つとしての地位を確立しようとしている。
輸出先を船種別にみれば、コンテナ船:41隻、5.7億ドル(全体の輸出額の18.7%)、バラ積み船:43隻、5.6億ドル(同18.5%)、製品油タンカー:51隻、5.0億ドル(同16.5%)が多い。また、地域別で見れば、ヨーロッパ向け輸出額が16.9億ドル(全体の56.1%)と多く、アジア向けが9.6億ドル(同31.8%)と続いている。国別に見れば、ドイツ向け:輸出額6.3億ドル(全体の21.0%)、シンガポール向け:3.0億ドル(同9.7%)、スウェーデン向け:2.2億ドル(7.2%)が上位を占めており、海外の船主から同型船を多数受注するケースも多い。
【表1】主要造船所の新造船受注量(2003年)(単位:万DWT)
順 位 |
企 業 名 |
新造船受注量 |
1 |
上海外高橋(CSSC) |
406.0 |
2 |
フー東中華造船集団(CSSC) |
200.2 |
3 |
大連新船重工(CSIC) |
180.5 |
4 |
南通中遠川崎船舶 |
160.4 |
5 |
江蘇新世紀造船 |
139.0 |
6 |
江南造船集団(CSSC) |
102.2 |
7 |
大連造船重工(CSIC) |
100.4 |
8 |
渤海船舶重工(CSIC) |
92.5 |
9 |
広州広船国際(CSSC) |
70.8 |
10 |
国内貿易部口岸船舶 |
54.4 |
出所:中国船舶工業行業協会
【表2】主要造船所の新造船竣工量(2003年)(単位:万DWT)
順 位 |
企 業 名 |
新造船竣工量 |
1 |
大連新船重工(CSIC) |
84.4 |
2 |
南通中遠川崎船舶 |
69.8 |
3 |
フー東中華造船集団(CSSC) |
65.0 |
4 |
上海外高橋(CSSC) |
50.0 |
5 |
江蘇新世紀造船 |
41.1 |
6 |
広州広船国際(CSSC) |
36.1 |
7 |
大連造船重工(CSIC) |
33.4 |
8 |
江南造船集団(CSSC) |
28.1 |
9 |
渤海船舶重工(CSIC) |
25.1 |
10 |
上海船廠(CSSC) |
16.0 |
出所:中国船舶工業行業協会
(建造能力増強に向けた動き)
CSIC及びCSSC傘下の造船所を中心に、長期発展目標の実現に向けて造船所の施設整備が進められている。
先ず、CSIC傘下の造船所では、大連新船重工において大型ドックの拡張工事が、また、大連造船重工で大型ドックの工事が進められている他、青島北海船舶重工においてはオリンピック競技場の整備に伴う移転工事が進められており、二本の大型新造船ドック、二本の大型修理ドックが建設される計画である。また、渤海船舶重工においても、東北域の工業基地の振興という政策目標に沿う形で、大型の新造船ドックの建設準備が進められており、2004年に着工の見通しである。
一方、上海をグループ拠点とするCSSCにおいては、同市を中心に世界最大の造船企業実現に向けた大規模な新造船所の建設工事が進められている。
揚子江に面した外高橋造船所の第一期建設工事(投資額32.1億人民元)は2003年10月に完了、20004年には第二期工事に着手する見込みである。また、揚子江支流の黄浦江にある上海船廠及び江南造船所は、都市再開発に伴いそれぞれ揚子江河口の崇明島及び長興島に移転することとなっており、現在新造船所の建設工事が進められている。なかでも長興島に建設される江南造船所の新造船基地は詳細こそ公表されていないものの、岸壁長さ約8Kmを有する世界最大級の造船所となる計画であり、その本格稼働時期は世界の新造船受注動向にも影響を及ぼすものとなっている。さらに、CSSCは広州の南砂市竜穴島に45億元を投資し、華南地区最大の現代化造船基地を建設する計画を発表している。
(3)2004年の展望と今後の課題
今後の施設整備の進展等により、2004年の新造船工事はさらに増加する見込みである。
CSICは2004年の新造船受注契約金額300億人民元以上、船舶竣工200万DWT以上を目標としてしており、一方、CSSCは年間の計画建造量を338万DWT(2003年は214万DWT)としている。CSSCによるこの目標が達成されれば、同社は長期計画よりも一年早く世界五位に入ることができる見通しである。
中国造船業は豊富かつ優秀な労働力の存在や、COSCO、チャィナシッピング等の大型船主による船隊整備の推進等、恵まれた事業環境下にあり、今後、更なる生産性の向上、鋼材、機関等をはじめとする主要資機材の安定調達、設計・技術開発能力の向上等の課題に適確に対応していくことにより、国際造船市場におけるシェアを伸ばしていくものと考えられる。
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