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1.鉄鋼 まえがき
中国は、1996年に粗鋼生産1億トンに到達し、以来、世界最大の鉄鋼生産国として発展・拡大を続け、昨2003年に史上初の2億トン生産国となった。国内需要(鋼材見掛消費)も日本の3倍強に当たる2.5億トン(一部次工程用の重複計算分を除く)にまで拡大した模様で、引き続き、2004年も旺盛な需要に牽引され、生産・消費ともに2桁台の成長が続くと予測する向きが多い。しかし、急速な発展を遂げてきた中国の鉄鋼業は、生産能力の急拡大が引き起こす、鉄鉱石・コークス・鉄スクラップなど鉄鋼生産原料の供給不足、原料輸送能力の制約、電力供給の不足、品種構成のアンバランスなど、成長の制約要因が足下で顕在化しつつある。本稿では、2003年の総括と2004年の展望を簡単に整理してみた。
(1)2003年の総括
中国鋼鉄工業協会(以下、鋼鉄協会)は、昨年2月開催の理事会において、粗鋼生産を前年比10%増の2億1千万トン、鋼材需要(鋼材見掛消費)を同12%増の2億2千万トン以上とする控え目な予測を発表したが、実際は増産スピードが更に加速し、粗鋼生産(速報ベース)は前年比で約4千万トン弱、20.8%増の2億2,012万トンと、1996年に1億ト
(予測)
ンを達成してから、8年連続で世界最大の粗鋼生産国となったばかりでなく、単一国として世界で初めての2億トン生産国となった。粗鋼生産を地域別(省・市)にみると、最大の生産地域が邯鄲鋼鉄、唐山鋼鉄などが位置する河北省で、4,035万トン(全国シェアは18.3%)、次いで、遼寧省(鞍山鋼鉄、本渓鋼鉄など)が2,169万トン(同9.9%)、江蘇省(南京鋼鉄、江蘇沙鋼、梅山鋼鉄など)が1,722万トン(同7.8%)、上海市(上海宝鋼など)が1,727万トン(同7.8%)、山東省(済南鋼鉄など)が1,415万トン(同6.4%)、湖北省(武漢鋼鉄など)が1,254万トン(同5.7%)と続いている。鋼材生産(一部次工程用の重複計算分を含む)は、前年比22.5%増の2億3,582万トンで、主要品種別内訳は、棒鋼・形鋼(40%)、線材(17%)など主として建設用に使われる条鋼類の割合が過半を占め、厚板14%、薄板10%、鋼管類8%となった。
2003年の地域別生産量 (万トン、%)
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粗鋼 |
前年比 |
鋼材 |
前年比 |
北京市 |
816 |
99.9 |
785 |
104.7 |
天津市 |
566 |
117.2 |
1,031 |
127.9 |
河北省 |
4,035 |
151.7 |
3,643 |
145.1 |
山西省 |
997 |
129.5 |
793 |
136.5 |
内蒙古 |
578 |
112.0 |
551 |
114.3 |
遼寧省 |
2,169 |
111.6 |
2,334 |
111.8 |
上海市 |
1,727 |
100.5 |
1,711 |
110.3 |
江蘇省 |
1,722 |
128.5 |
2,877 |
126.5 |
浙江省 |
334 |
126.0 |
527 |
131.4 |
安徽省 |
692 |
108.5 |
710 |
106.0 |
江西省 |
600 |
109.5 |
655 |
108.8 |
山東省 |
1,415 |
141.4 |
1,434 |
140.9 |
河南省 |
852 |
126.8 |
745 |
125.4 |
湖北省 |
1,254 |
113.1 |
1,126 |
113.3 |
湖南省 |
591 |
108.0 |
558 |
114.3 |
広東省 |
596 |
126.8 |
789 |
118.8 |
四川省 |
702 |
93.0 |
799 |
106.1 |
その他 |
2,366 |
120.0 |
2,514 |
124.1 |
全国計 |
22,012 |
120.8 |
23,582 |
122.5 |
出所:中国鋼鉄統計、国家統計局
大手高炉4社の鉄鋼生産をみると、粗鋼は最大手の宝山鋼鉄(1,155万トン)と第2位の鞍山鋼鉄(1,018万トン)の上位2社が前年並みにとどまったのに対し、3号高炉の改修・第3製鋼工場の拡張を終えた武漢鋼鉄(前年比11.7%増の844万トン)が首都鋼鉄(同横ばいの817万トン)を抜いて、初めて第3位となった。鋼材は、宝山鋼鉄(同5.9%増の1,020万トン)が初の1千万トンメーカーとなったが、第2位の鞍山鋼鉄(957万トン)は微減となったほか、大手高炉4社のなかでは、唯一の二桁増産を記録した武漢鋼鉄(同14%増の692万トン)は、数量面では首都鋼鉄(同4.5%増の779万トン)に及ばず、第4位にとどまった。
中国の高炉大手4社の鉄鋼生産(2001~2003年)
(単位:万トン・%)
メーカー |
粗 鋼 |
鋼 材 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
宝山鋼鉄 |
1,151(101.8) |
1,158(100.6) |
1,155(99.7) |
931(105.0) |
963(103.4) |
1,020(105.9) |
鞍山鋼鉄 |
879(99.8) |
1,007(114.5) |
1,018(101.1) |
802(111.2) |
960(119.7) |
957(99.7) |
武漢鋼鉄 |
709(106.5) |
755(106.6) |
844(111.7) |
587(109.3) |
607(103.4) |
692(114.0) |
首都鋼鉄 |
825(102.7) |
817(99.1) |
817(100.0) |
717(104.8) |
745(104.0) |
779(104.5) |
4社計 |
3,564(102.4) |
3,737(104.9) |
3,834(102.6) |
3,037(107.4) |
3,275(107.9) |
3,448(105.3) |
〔全国シェア〕 |
〔23.6〕 |
〔20.6〕 |
〔17.4〕 |
〔18.8〕 |
〔17.0〕 |
〔14.6〕 |
全国計 |
15,087(117.4) |
18,155(120.3) |
22,012(121.2) |
16,170(122.5) |
19,218(118.9) |
23,582(122.7) |
出所:中国鋼鉄工業協会(速報値ベース)
注:()内は前年比(%)を示す。鋼材は重複計算分を含む。
中国鉄鋼業の第10次5カ年計画(2001年~2005年)においては、国際競争力を備えた企業集団の育成を図るべく、全国粗鋼生産に占める大手・中堅メーカー上位10社の生産シェアを2000年の50%から2005年には80%以上へ引き上げるという目標を掲げていたが、2003年の実績を見ると、上位10社のシェアは37.5%へ低下、同様に生産規模が年産50万トン以上の62社のシェアも2ポイント低下し、逆に50万トン以下の小規模メーカー群のシェアが2ポイント上昇している。鋼鉄協会が公表した資料によれば、2003年に新規稼動した高炉は81基あり、このうち概要が判明している73基の規模別内訳をみると、500m3以下の小型高炉が58基(容積の合計は21,217 m3)と最も多く、新規高炉73基の全体容積(45,136 m3)の47%を占めているのに対し、3,000 m3以上は1基(鞍山鋼鉄)、1,000~3,000 m3は10基に過ぎない。こうした実態は、盲目的に投資を拡大する地方の中小メーカーと中央政府指導下で発展を目指す大手メーカーとの間に、発展のアンバランスが生じていることを示しており、経営集約化や競争力向上を目指す鉄鋼業の健全な発展を阻害する要因となっている。
中国の規模別企業数、粗鋼生産量、生産シェアの推移(2002~03年)
|
|
2002年 |
2003年 |
|
03/02年 増減 |
|
|
社数 |
生産量 |
生産
シェア |
社数 |
生産量 |
生産
シェア |
|
社数 |
生産量 |
生産
シェア |
|
粗鋼生産規模 |
(社) |
(万㌧) |
(%) |
(社) |
(万㌧) |
(%) |
|
(社) |
(万㌧) |
(%) |
(%) |
|
1千万㌧以上 |
2 |
2,165 |
12 |
2 |
2,172 |
10 |
|
0 |
+ 7 |
+ 0.3 |
+ 2p |
|
500~999万㌧ |
6 |
3,738 |
21 |
11 |
6,785 |
31 |
|
+ 5 |
+3,047 |
+81.5 |
+10p |
|
300~499万㌧ |
8 |
3,143 |
17 |
5 |
1,837 |
8 |
|
▲ 3 |
▲1,306 |
▲41.6 |
▲9p |
|
200~299万㌧ |
10 |
2,294 |
13 |
18 |
4,139 |
19 |
|
+ 8 |
+1,845 |
+80.4 |
+ 6p |
|
100~199万㌧ |
24 |
3,650 |
20 |
21 |
3,160 |
14 |
|
▲ 3 |
▲490 |
▲13.4 |
▲6p |
|
50~99万㌧ |
7 |
580 |
3 |
5 |
389 |
2 |
|
▲ 2 |
▲191 |
▲32.9 |
▲1p |
|
50万㌧以上(A) |
57 |
15,570 |
86 |
62 |
18,482 |
84 |
|
+ 5 |
+2,912 |
+18.7 |
▲2p |
|
50万㌧以下(B) |
n.a. |
2,585 |
14 |
n.a. |
3,530 |
16 |
|
n.a. |
+945 |
+36.6 |
+ 2p |
|
全国計(A+B) |
n.a. |
18,155 |
100 |
n.a. |
22,012 |
100 |
|
n.a. |
+3,857 |
+21.2 |
- |
出所:中国鋼鉄統計
2003年の鋼材需要(鋼材見掛消費)は、(1)鋼材生産(一部次工程用の重複計算分を含む)が前年比22.5%増の2億3,582万トンと2億トンの大台を突破し、史上最高を更新、(2)鋼材輸出(同27.5%増の696万トン)、鋼材輸入(同51.8%増の3,717万トン)がいずれも史上最高となった結果、鋼材見掛消費(生産-輸出+輸入)は2億6,603万トンと5年前の1999年(1億3,220万トン)の2倍に拡大した。
中国の鋼材市況は、2000年半ばを前回ピークに、約2年近く低下傾向を辿った後、薄板類は2002年年央から上昇に転じている。この背景には、2002年5月の暫定セーフガード発動が影響しているものと推察される。2003年に入ると、異形棒鋼、線材など建設用鋼材の市況が上昇し始め、春頃に輸入急増による在庫過剰から薄板類の市況が一時的に下落したものの、第四4半期を境に鋼材各品種の市況上昇傾向が一段と強まっている。2003年における中国鉄鋼業の業績は、生産増や鋼材販価の上昇等により、売上高が同49%増の6,330億元、純利益が同2倍の472億元と、過去最高を更新するなど、大幅な増収増益となり、利益率(純利益/売上高)は前年の5.5%から7.5%へ向上した。
中国の主要鋼材市況推移

中国鉄鋼業の業績推移
(単位:億元、%)
|
95年 |
96年 |
97年 |
98年 |
99年 |
00年 |
01年 |
02年 |
03年 |
売上高A |
2,920 |
2,854 |
2,919 |
2,912 |
3,054 |
3,466 |
3,764 |
4,244 |
6,330 |
純利益B |
114 |
44 |
10 |
9 |
25 |
130 |
165 |
235 |
472 |
B/A |
3.9 |
1.5 |
0.3 |
0.3 |
0.8 |
3.8 |
4.4 |
5.5 |
7.5 |
出所)中国鋼鉄工業協会、重点大手・中堅89社ベース
なお、中国では鉄鋼生産の拡大にともない、鉄鉱石の見掛消費量(生産は成品鉱で算出)が増大、2003年には同22.7%増の2.79億トンにまで拡大した模様である。そのうち、輸入は前年比33%増の1.48億トンと、日本(1.36億トン)を抜いて世界最大の鉄鉱石輸入国となり、これまで7割を国内鉄鉱石で賄っていた中国の鉄鋼業は、海外鉄鉱石への依存度が50%を超えた(2003年の鉄鉱石の海上貿易量に占める中国の割合は2001年20%→2002年23%→2003年28%へ急上昇)。更に、コークスの不足(2003年の原料炭輸入は260万トンと、同約10倍に拡大)や、一部地域での電力不足、鉄道輸送および港湾荷揚げ能力不足といったインフラに係わる問題も噂されている。こうした状況は、国内需給のみならず、国際需給や海運市況などに多大な影響を及ぼすに至っている。
中国の鉄鉱石の需給バランス
(単位:100万トン)
|
原鉱 |
生産 |
成品鉱 |
輸入 |
見掛 |
海外
依存度 |
前年比 |
|
前年比 |
消費量 |
前年比 |
1997 |
269 |
6.5% |
140 |
55 |
25.6% |
190 |
11.4% |
29.1% |
2000* |
224 |
▲5.6% |
112 |
70 |
26.6% |
182 |
4.6% |
38.5% |
2001 |
217 |
3.1% |
108 |
92 |
31.9% |
200 |
10.4% |
46.0% |
2002* |
231 |
6.6% |
116 |
111 |
20.8% |
227 |
13.1% |
49.1% |
2003* |
261 |
12.8% |
131 |
148 |
32.9% |
279 |
22.7% |
53.2% |
出所:IISI「Steel Statistical Yearbook」,UNCTAD「Iron Ore Statistics August」等
注1:中国の統計上における鉄鉱石(原鉱)の生産量は、Fe含有率が豪州やブラジルなどの主要国(含有率60%台)に比べて 焼く半分と考えられている。このため見掛消費量を算出するにあたり成品鉱の生産を採用、ただし、00年、02年 、03年は成品鉱の生産が不明なため、原鉱の生産に50%を乗じた。
なお、成品鉱は原鉱を選鉱、精錬等により、Fe含有率を輸入鉱並みに高めたもの。
注2:見掛消費量=生産+輸入-輸出
注3:海外依存度=輸入÷見掛消費
注4:2003年の生産量は推計値である
注5:輸出は過去にほとんど実績がないため掲載は省略した。
鋼通商政策をみると、中国政府(商務部)は、米国ならびにEUのセーフガード措置発動に対抗して、2002年5月24日(暫定措置期間を含む)より実施してきた関税割当方式に基づくセーフガード措置(確定措置の対象品種は普通鋼薄板3品種と電磁鋼板、ステンレス冷延鋼板の合計5品種)を、2003年12月に米国、EUの両政府が同措置の撤廃を決定したことを受け、2003年12月26日を以って全面撤廃する旨、商務部公告で正式に発表した。また、同措置の撤廃後に鋼鉄協会が発表した公式コメントでは、国際鉄鋼貿易の発展と趨勢を注視するとともに、国内においては産業損害事前警告メカニズムの強化、法的措置に基づく国内産業の合法的権益を擁護していく、との方針があらためて強調された。さらに、中国政府(商務部)は、2003年9月23日、ロシア、韓国、ウクライナ、カザフスタンおよび台湾からの輸入冷延鋼板を対象にした反ダンピング(A/D)調査の結果、「損害あり」の最終裁定を下し、相応のA/D税課税については特殊事情(セーフガード期間中)に鑑み、延期としていたが、翌2004年1月14日より、A/D税課税を執行する旨、商務部公告および税関総署通知により、正式に発表された。
国内産業政策では、中国政府(国務院)は、過剰投資や過熱する不動産投資への警戒から、金融機関による投資抑制指導や工業開発区の建設抑制策などを打ち出したほか、11月には、鉄鋼を含む3業種で、一部地区の企業が、規則に違反した能力拡張のための大型プロジェクトを推進し、低レベルの重複生産や違法増産を行っており、生産能力が需要予測を大きく超過していると警告、同3業界の実態調査を実施し、その結果を2004年2月末までに国務院へ報告するよう要求した業界指導要領(「鉄鋼業の盲目的投資規制に対する若干の意見」)が国家発展改革委員会、国土資源部、商務部、環境保護局、銀行業管理監督委員会へ回付された。
(2)2004年の展望
鋼鉄協会が、今年2月開催の2004年(拡大)理事会において、公表した鉄鋼需給見通しによれば、(1)中国経済は国内総生産(GDP)7%以上の高度成長が続き、それを牽引する貿易総額8%以上、投資(固定資産投資)約15%以上の伸びが期待される。(2)需要部門も、発展著しい機械製造・発電設備・自動車および不動産・インフラ建設など鋼材多消費型産業の成長・拡大が今後も続くとの前提で、粗鋼生産を前年比17%増の2.6億トン、鋼材需給(重複計算分を除く)を、生産が同15%増の約2.5億トン、輸出(前年実績が約700万トン)と輸入(同3,700万トン強)はほぼ前年並みの水準を維持すると仮定し、鋼材見掛消費(生産-輸出+輸入)は12%増の2.8億トン程度と想定している。
また、2004年は発展への三つの新たなチャンスとして、(1)自動車産業など海外からの生産拠点拡大などに呼応する形で、品種構成の最適化を促進する。(2)生産集中化の促進と近代的企業制度への確立を図るため企業改革を浸透させる。(3)経営状況が良好な機会を捉えて、技術開発・環境保護への投資拡大を図る、などを掲げている。と同時に、新たな三つの挑戦として、(1)鉄鉱石、原料炭、コークスなど鉄鋼原料の供給制限、電力などエネルギー不足、輸送能力の不足。(2)セーフガードの全面撤廃による輸入急増で市場競争が一段と激化。(3)能力拡張(2004年における新設高炉能力は5千万トン以上、新設製鋼能力は約4千万トン)と一部品種の需給アンバランスなど、に対する積極的な対応が必要との方針を打ち出している。
2004年の中国鉄鋼業を予測する上で重要な点を、次に掲げて置きたい。鋼鉄協会による鉄鋼需給見通しを前提にすると、(1)中小メーカーの乱立状態は変わっておらず、地方においては民営メーカーが台頭し、能力拡張を目指す建設プロジェクトは、事実上の野放し状態が続いている。(2)鉄鉱石の国内生産は、今後鉄鋼生産の伸びに見合う拡大が難しくなると想定されることから(鋼鉄協会の粗鋼生産予測:2005年2.9億トン、2010年3.3億トン)、増産分の多くを海外鉄鉱石の消費で賄わざるを得ず、輸入鉄鉱石への依存度が更に上昇してこよう。(3)鉄鋼原料、製品価格、電力料金の上昇、輸送能力のネックなど、コストアップ要因が継続すると懸念される。(4)輸入鋼材の約4分の1を占める冷延鋼板類は供給不足により、昨年輸入が初めて1千万トンを超え、国産化のスピードが市場ニーズの拡大に追いついていない。(5)不動産、機械・自動車・家電などの産業の固定資産投資の持続的発展が鍵を握るが、建材製品を中心に需要の伸び次第で需給緩和と一時的調整が発生する可能性もある。(6)セーフガード措置の全面撤廃後は、A/Dなど法的措置によって国内産業の権益保護を図るとの方針を強調しており、輸入鋼材への警戒感を緩めていない。(7)昨年最大の輸出品種となった棒鋼をはじめ、線材など国内供給過剰品種を中心に、輸出志向が更に強まることが予想される。
(3)日本との関係
2003年の日本の香港向けを含む中国向け全鉄鋼輸出は、銑鉄、鋼塊・半製品などが減速したことから、前年比5%減の764万トンと、6年振りにマイナスに転じたが、数量ベースでの輸出仕向け国としては、昨年と同様に韓国(901万トン)に次いで、第2位であった。また、中国側の入関実績から見た昨年の主要供給国は、日本が全体の17.6%を占め、2年連続の首位となったが、前年比では減少に転じた。主要輸入鋼材別にみると、日本がトップを占めたのは、亜鉛めっき鋼板、電磁鋼板、継目無鋼管など中国が生産できないか、生産できても能力不足の高付加価値製品であった。2004年の中国の輸入需要は、7%を上回る高度経済成長、造船、自動車、家電、機械、事務用機器など製造業の活発な生産活動、伸びの鈍化が見込まれるものの、依然として活況を呈している建設活動、道路・鉄道・港湾・河川等インフラ整備の拡大、北京オリンピック(2008年)や上海万博(2010年)など大規模国家プロジェクトに牽引され、強基調が継続するとの見方が強い。こうしたなか、日本の中国向け輸出は、現地製鋼材とは競合せず、品質・規格面から現地ミルが供給できない製品および供給能力不足から現地ミルでは充分に供給できない、所謂高付加価値製品が引続き主流であろう。また、日本の対中国投資の主体は従来、ブリキや建材用の亜鉛めっきなどであったが、自動車産業の本格的な拡大に伴い、2003年に入り、冷延ミル、溶融亜鉛めっき鋼板ラインなど自動車用高級鋼板合弁が相次いで具体化し、中国側からも鉄鋼業の発展にとって意義あるプロジェクトとして高い評価を得た。
2003年には、鉄鋼市場に対する相互理解の促進、市場秩序の安定化を図るための日中官民鉄鋼対話が11月に北京で開催されたほか、中国の鉄鋼市場・貿易に関する国際セミナー、日中韓ビジネスフォーラム、日中鉄鋼統計交流会なども行われた。こうした日中鉄鋼業間の対話・交流活動は幅広い分野において、更に活発化してこよう。
日本の中国向け全鉄鋼輸出

出所)財務省通関統計
注)中国向けには香港向けを含む。
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