第8章 運輸

1.海運
(1)中国国際港運に関する政策動向

 急速に増大する貿易貨物量に対応するべく、2001年から始まった「十五」計画では、港湾施設の整備・安全管理の強化・海運市場の整備・法制度の強化を目指し、以下の8項目が重点とされている。

  • 水路交通発展戦略と計画、産業政策を研究制定する。
  • 海運法を更に整備し、法制化によって行政の水準を引き上げる。
  • 市場への監督を強化し、海運市場を整備する。
  • 関連技術の質的向上を図り、運輸機構と機能アップの為の調整を行う。
  • 海運管理体制改革の深度を更に深める。
  • 対外開放を更に拡大させ、開放内容の質と水準を引き上げる。
  • 運輸事業の順調な発展の為に、安全な水上交通に係わる監督を強化する。
  • 海運関連企業の経営精神向上と人材育成を促進する。

    この計画基本方針に沿って官民一体となり、2001年から種々の施策が実行されて来たが、2003年に於ける主な特記事項は次の通りである。

○港湾整備

 2003年における沿海港湾への投資額は206億人民元に達し、全国で1万トン以上の船舶が寄航できるバースは45箇所増加し、港湾取り扱い能力は8,220万トン増加した。より効率のよい港湾建設や船舶の大型化に対応するべく、コンテナ船・原油タンカー・鉄鉱石運搬船向けの大型バースの建設や航道の深水化といった港湾整備が進められている。主なプロジェクトとしては、長江河口の航道深水化2期工事や上海洋水深水化第1期工事、湛江港鉄鉱石バースの建設などが進められた。また7月には、青島に1万TEUの大型コンテナ船が寄航できる全国最大のコンテナバースの建設プロジェクトが決定した。

○港口法施行

 2003年6月の全国人大常委員会第3次会議にて、「中華人民共和国港口法」が公布され、2004年1月1日より施行されることとなった。1984年以降、沿海・長江流域の主要港は中央と地方政府との二元管理指導体制となっていた。港口法の施行により、全国港湾に対して交通部が統一管理を行い、省レベル交通部門が域内港湾の行政管理に責任を負い、発展計画を策定、港湾所在地市政府は「1市1港」の原則に基づいた行政管理を行うこととなった。

○米中海運協定

 米中間の海運協定は1998年9月より失効していたが、中国のWTO加盟以降、中国の海運法規が整備されたことや、対米輸出の激増などの環境変化を受けて、2003年12月に再び「中美海運協定」の締結が合意した。この協定により、中国における外国企業の支店開設に対する制限やNVOCCの中国進出に対するライセンス発給に関し、キャッシュボンドの積み立てが要求されていること、各船社のコンフィデンシャル・サービス・コントラクトの内容の開示などの問題が解決されたものと推測される。

○CSI参加

 2003年7月、米国国土安全保障省は中国がコンテナ・セキュリティー・イニシアティブ(CSI)に参画することになったと発表した。テロ対策の一環として、上海および深センから米国向けに船済みされるコンテナを対象とした事前検査を、米中共同で実施することとなった。

○天然ガス(LNG)

 LNGについては、これまでのところ輸入実績は無いが、周辺に建設予定の火力発電所や都市ガスに供給する目的で、初の輸入事業となる広東プロジェクトでは年間約370万トンの輸入基地を建設、2006年頃から豪州を調達ソースに輸入を開始することが決定した。また、続く福建プロジェクトでは、2007年の完成を目指して輸入ターミナルを建設、インドネシアから年間約260万トンを調達することが決定している。因みに、海上輸送用のLNG船は全て国内造船所で建造される。

○中国船社の動向

 安全運航を高めるため、中国は自国商船隊の若返りを図り、老朽船の淘汰を行っている。2002年末の外航商船隊の規模は、総隻数2337隻(2001年比308隻減)、総積載重量は2,316.17万(同9.55万減)であった。(出所:中華人民共和国「2002年中国航運発展報告」2003年版)

 2004年2月時点のコンテナ船運航船社ランキングでは、COSCOは第9位で109隻、235,138TEUを運航、China Shippingは第10位で94隻、203,214TEUを運航している。(出所:中国航務周刊2004年2月11日出版)

 また2004年2月末現在の両社の新造コンテナ船計画は以下の通りとなっている。(商船三井営業調査室調べ)

<COSCO>

 5,500TEU型3隻 (社有) 今治造船建造 2005年デリバリー

 7,500TEU型5隻 (傭船) 現代重工建造 2004年デリバリー

 8,200TEU型5隻 (傭船) 現代重工建造 2006年デリバリー

 <China Shipping>

 4,050TEU型1隻 (社有) HUDONG造船建造 2004年デリバリー

 4,253TEU型5隻 (傭船) 三星重工建造    2005年デリバリー

 5,500TEU型2隻 (社有) 大連造船建造    2003-2004年デリバリー

 5,688TEU型5隻 (社有) HUDONG造船建造 2004-2005年デリバリー

 8,076TEU型5隻 (傭船) 三星重工建造    2004-2005年デリバリー

 9,500TEU型4隻 (傭船) 三星重工建造    2006年デリバリー

(2)海上輸出入貨物の荷動きと各港の内外航扱い貨物数量動向

 2003年の中国全港湾における貨物総取扱量は計26億トン(2002年比16.9%増)、内海外貿易における取扱量は9億トン(同21.6%増)であった。なかでも上海での取扱量は3億トンを超え、世界第2位の取扱量を記録したほか、上海・寧波・広州・天津・青島・大連・秦皇島・深センの8港の取扱量が1億トンを超えている。沿海10大港2003年の貨物総取扱量は以下の通りである。

<順位>

<港名>

<数量(万トン)>

<対前年比>

1

上海

31,359

19.5%増

2

寧波

18,524

20.3%増

3

広州

17,106

11.6%増

4

天津

16,181

25.4%増

5

青島

14,090

15.4%増

6

大連

12,602

13.0%増

7

秦皇島

12,560

12.5%増

8

深圳

11,224

28.0%増

9

舟山

5,677

39.6%増

10

福州

4,763

21.7%増

 また、2003年中国全港湾におけるコンテナ貨物の取扱量は4,800万TEU(2002年比29.7%増)であり、アメリカを抜き世界1位の取扱量となった。中でも上海と深センの取扱量は1,000万TEUを突破し、釜山を抜きそれぞれ世界3位・世界4位の取扱量を記録した。10大港の取扱量は以下の通りである(速報数字ベース)。

<順位>

<港名>

<数量(万TEU)>

<対前年比>

1

上海

1,128.17

31.0%増

2

深圳

1,069.49

39.3%増

3

青島

423.86

24.3%増

4

天津

301.54

25.2%増

5

寧波

276.26

48.6%増

6

広州

276.17

27.1%増

7

厦門

233.11

32.9%増

8

大連

166.93

23.5%増

9

中山

75.61

17.7%増

10

江門

74.42

153.3%増

     また主に撒積みで輸送される主要貨物の輸入量は以下の通りであった(速報数字ベース)。

<貨物>

<2003年>

<2002年>

大豆

2,074万トン

1,132万トン

鉄鉱石

14,813万トン

11,150万トン

石炭

1,076万トン

1,081万トン

原油

9,112万トン

6,941万トン

石油製品

2,824万トン

2,034万トン

鋼材

3,717万トン

2,449万トン

 とりわけ中国の鉄鉱石と原油の輸入量の急激な増加は、折しも造船所の新造船台のタイトな予約状況、鉄鉱石主要船積港の深刻な滞船、海上輸送距離の延長と相まって、2003年後半よりバルクキャリア・原油タンカー運賃の急騰をもたらしたており、季節的な若干の上下は有り得るものの、実需が伴っていることを考え合わせれば、この基調は当分の間続きそうである。

 また、撒積輸出大宗貨物である石炭については、2003年総輸出量は93,880,000トン(2002年は83,840,000トン。いずれも通関数字速報ベース)であったが、華中、華南を中心とする旺盛な国内電力需要、コークスを含む製鉄原料の急速な国内需要増に伴い、2003年後半頃から輸出石炭の玉不足が深刻になっており、日本向け分を含めて、今後の動向が気になるところである。主に北方港から華中、華南へ移出される石炭についても、主力の2~5万トン級内航船腹の需給がタイト化している。

 輸出自動車についても、中国国産メーカーがトラック、バス車両を中心に、北アフリカ、中東等向けに着々と輸出実績を積み重ねて来ているが、2004年からは外資系乗用車メーカーの生産能力が拡充され、段階的な完成車輸出増加も見込まれる為、欧州向けを含めた自動車専用船(所謂PCC)に対する将来的な需要も増えて行くことが予想される。また、同様に完成車国内輸送量の増加に伴い、内航輸送サービスに対する需要も大きくなって来ている。

 内外製紙メーカーの既存設備拡張や新規工場建設計画も昨年相次いで発表されており、国内植林のみならず、それに伴う木材チップの将来的な輸入増加が確実視されている。

 広東省や長江流域等を中心とする石化プロジェクトも順調に進展しており、それに伴う化学原料、製品、建設資材の海上輸送も昨年来一段と活況化している。 

 更に最近では進行中の西部大開発に続き、東北再開発問題もクローズアップされており、それらに関連するインフラとして、海運、港湾ともに更なる発展が期待される。

トップへ>>

<<前へ 次へ>>